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ルソン島での戦争体験記 逗子在住の又甥が翻訳、戦争の記憶つなぐ

大伯母が遺した戦争体験記を再出版した中村蓉子さんと翻訳した田中心一郎さん

大伯母が遺した戦争体験記を再出版した中村蓉子さんと翻訳した田中心一郎さん

 逗子在住の通訳・翻訳家、田中心一郎さんが義姉、中村蓉子さんの大伯母、岡田梅子さんの戦争体験記「春菊よ 谷のせせらぎよ ありがとう」を翻訳し、英語版「UMEKO」を8月12日に発行した。

戦争体験記「春菊よ 谷のせせらぎよ ありがとう」と英語版「UMEKO」(見本)

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 1918(大正7)年東京生まれの岡田さんは1943(昭和18)年、三菱商事初の女性海外駐在員としてフィリピン・ルソン島のマニラに転任。翌年9月に初の空襲があり、年末、ジャングルの奥地への疎開が始まる。同書は自身もマラリヤ、赤痢にかかりながら、従軍補助看護婦としても活動、死を目前にした終戦までの日々を帰国後、1954(昭和29)年、記憶をたどりメモしたもの。友人らが回覧、原稿用紙に書き起こし、1963(昭和38)年、自費出版した。

 岡田さんの妹の孫(又甥=またおい)に当たる中村さんは1986(昭和61)年逗子生まれ。小学生の頃、本棚にあった同書を読み、数回、岡田さんから話を聞き、「大伯母の生き様をリスペクトしている」と言い、「戦渦でもオープンマインドで、過酷な経験を書き残してくれた。今、大伯母が経験したような情勢が危惧され、5歳の娘の未来を思うと、戦争の記憶をつなぐ活動をしなければと思い、再出版した」と話す。

 2025年7月、kindle版電子書籍として再出版。12月、中村さんがイラストを添え、ペーパーバック版を発行。中村さんは英語版編集について、「再出版に当たり、戦争の記録などをいろいろ読み、調べたが民間人が書いた記録は少なく、大伯母が遺した希少な記録を日本人以外にも伝えたいと思った」と振り返り、その思いをくみ取った田中さんは「日本人の肉声を忠実に伝えることを大切に訳した」と話す。

 タイトルについては、外国人にとってストレートに分かりやすくするため著者の名前から「UMEKO」にし、表紙絵もバナナに変えた。戦禍を生き抜いた秘訣(ひけつ)を、岡田さんは「臆病で食いしん坊」と話していたという。

 中村さんは戦争の記憶をつなぐ今後の活動について、「記録にあるフィリピンの現地に行くことと、小学生でも手に取りやすく、理解しやすいように編集発行してみたい」と力を込める。

 価格は、「UMEKO」がkindle版=1,500円、ペーパーバック版=1,650円。「春菊よ 谷のせせらぎよ ありがとう」がkindle版=500円、ペーパーバック版=1,100円。

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