逗子のソフトクリーム店「モーモーズ」(逗子市逗子2)が10月12日に閉店した。営業最終日は開店時刻の12時前から200人以上の行列ができ、一日中その列が途切れることはなかった。
2006(平成18)年6月にオープンした「モーモーズ」は関口牧場(横須賀市)の朝搾りのフレッシュなミルクを使ったソフトクリームが特徴で、定番メニューのほか約80種類の味を月替わり・週替わりで販売してきた。
閉店の案内は4月16日に「めでたく閉店することにしました。理由は『やり切った感』です!」と告知した。店主の岡田森夫さんは「まだ小学生だった娘たちと横須賀の関口牧場でソフトクリームを食べた帰り、このおいしいソフトクリームを逗子の街なかで食べられたら、とひらめき、牧場にかけ合った。同じ機械を使うことでOKをもらった」と振り返り、「老若男女多くの人に通ってもらい、逗子のホットスポットになったのでは。街を彩ってきたことに対して明るく閉店したかった。ひっそり閉めるのではなく、こういう閉店のモデルもあるのでは」とも。
岡田さんは当時勤めていた会社の理解を得、18年間はダブルワークとして経営してきた。この間、京急逗子・葉山駅の北口改札に「浪子そば」、鎌倉大仏前に「三福団子」、鎌倉銭洗弁天境内に「弁天茶屋」、今年7月には横浜に「浪子そば」幸浦店をオープンさせた。「この店の店頭に立ちながら、他の店に充てる時間が難しくなってきた。モーモーズは一番大切な店なので、自分が店主のまま大切に終わらせたかった」と岡田さん。
告知後、ステッカーを配布すると2日間で1000枚がなくなった。慌てて5000枚を追加した。10月に入り、急きょ作って販売したロゴ入りTシャツもすぐに完売した。多くの手紙が届いた。「学生の頃、話を聞いてもらい世話になった息子が海外にいて来られないので代わりにお礼を言いに来た」という父親や、10代の頃、恋愛相談をしていた女性が家族を連れてくるなど、「最後にお礼を言いたい」「もう一度食べておきたい」という人らが10月に入り、行列を作った。
閉店日の一番乗りは野球好きの男性だった。「彼とはマニアックな野球の話をよくした。閉店が決まり、大事にしていた大谷選手のプレミアムユニホームをプレゼントしてくれた」と岡田さん。閉店時刻の19時前、駆け付けた客も多かったが、完売となった。
ソフトクリームを食べるまでに2時間以上も待つにぎわいとなった最終日、岡田さんは「僕が覚えている人の何十倍の人が僕のこと、この店のことを思い出にしてくれていることが分かった。こうして閉店できることに感謝したい」と涙をこらえた。
同店には、同じ新逗子通りに面したおはぎ専門店「菓匠からくさ」(逗子3)が12月に移転し、リニュアールオープンする。