葉山郷土史研究会が編集する「郷土誌 葉山」17号の販売が5月12日に始まった。
2004(平成16)年に創刊した同誌は、2001(平成13)年に発足した市民団体「葉山郷土史研究会」が発行している。地方文書(じかたもんじょ)を探索して解読、保存し、学習会、散策、研修旅行などを行い、同町の成り立ちや暮らしぶりなどを調査研究した成果を年刊誌としてまとめている。
町制施行90周年記念誌「葉山町の歴史と暮らし」に続き、町制施行100周年記念誌「葉山」(2025年1月発行)の編集にも携わった。その編集に3年かかったため、「郷土誌」は4年ぶりの発行となった。
副会長の鈴木雅子さんは「編集委員8人の平均年齢は約80歳で、100周年記念誌を機に発行することへの迷いもあったが、神奈川県立公文書館から町役場に返還された『葉山村社寺明細帳』を詳しく記録しておきたいなど、まだまだ残しておきたいことがあった」と今回の発行への思いを話す。
編集委員の一人、長尾五郎さんは破れてしまいそうな和本「葉山村社寺明細帳」492ページをページごとに撮影し、内容を読み解いてまとめた。「内務省にあった神社局の書類が関東大震災で焼失したため、『神社明細帳写』の再提出の催促書が震災後、1カ月半後から13回にわたって葉山村に届いていることなどが分かった」と当時の社会情勢に触れられたことが興味深かったという。
明治時代の森戸神社や玉蔵院など6寺社の見取り図や光徳寺などの平面図などが描かれた画像も全てカラーページに掲載。
同じく編集委員の藤波勝次郎さんは石井重太郎さん(長柄)が1897(明治30)年~1952(昭和27)年までつづった「農業日誌」についてまとめた。「農業に関わることばかりではなく、社会的なニュースなども詳しく書かれている。今回は明治から大正、大正から昭和への改元時の様子を読み解いた。当時の町民が皇室に対して尊び、敬う気持ちが伝わってきた」と藤波さん。
「葉山ゆかりの文学散歩」には50人以上の作家が登場、「町に残る戦争遺構」は実地調査に基づく寄稿となっている。
3人とも「調べれば調べるほど葉山に愛着が湧く。若い人に引き継げたら」と話す。
仕様はB5サイズ、119ページ。価格は1,000円。葉山まちづくり協会、文教堂葉山店などで扱う。