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「逗子アートフェス」開幕へ 使われなくなった場所をアートで復活する作品も

旧県立逗子高校武道場でインスタレーション作品を制作する北川一臣さん、金子幸さん

旧県立逗子高校武道場でインスタレーション作品を制作する北川一臣さん、金子幸さん

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 「逗子アートフェスティバル(以下 ZAF)」が10月7日、逗子市内各所で始まる。主催は実行委員会、共催は逗子市、逗子教育委員会。

逗子医療センターのベランダで藤蔓(つる)を作品に仕上げていく久保島一裕さん

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 同市文化振興基本計画に掲げた基本方針「地域の文化を市民の手で拓(ひら)く」の下、2013(平成25)年のプレ開催以降、毎年続けてきたZAFは今年、3年に一度のトリエンナーレを迎え、約40の企画を展開する。テーマは「アートのよはく」。

 テーマについて、共同代表でアーティストのたかけろおねえさんは「あまり使われていない場所、使われなくなった場所をアートで復活させたいという思いも込めている」と紹介。さらに、「自分が会場に選んだ蘆花公園第2休憩所(逗子市桜山8)も公共施設なので、市民が誰でも借りることができるが、ほとんど借りる人がいないと聞く。制作に取りかかる前から毎月、風通しに行き、障子を張り替え、掃除をした。周辺は、逗子で作家活動をした徳富蘆花や泉鏡花らにとって影響を与えた場所だということも伝えたい」と話す。

 県立逗葉高校と統廃合になったため使われなくなった県立逗子高校(逗子市池子4)の武道場を会場にしたのは、アートユニット「カレイドスコープ」の金子幸さん、北川一臣さん。相模原在住の2人は2021年にゲストアーティストとして参加し、逗子・沼間にある民家の蔵を借り、インスタレーション作品「知覚の境界」を展示した。北川さんは「地元ではない私たちも受け入れてもらい、つながりを持てた。今年は、その逗子で得たインスピレーション、多様性を形にした。私たちが作った岩にパルプ紙の植物を来場者によって養生していってもらう。最終日が完成形になる」と話す。

 4カ月前から18万枚のパルプ紙を何層にも貼って作り上げてきた大小22の岩に養生する植物は、地元にある聖和学院や逗子葉山高校の美術部員も参加してパルプ紙で約1万個を作った。聖和学院美術部顧問の明神教諭は「生徒たちが共同で作品を作る機会はないので、貴重な経験になった」と喜ぶ。

 京急逗子・葉山駅南口前に約60年前に病院として建てられた「逗子医療センター」(逗子5)も、入居していた医院や薬局が移転して、ほぼ空き家になっている建物。空き部屋になった9部屋を5人のアーティストが展示空間として使う。その一人で逗子在住の久保島一裕さんは生花店も経営する草月流いけばな作家。地元の山で山林を守るために伐採した藤蔓(つる)を使い、約8畳の部屋とベランダに作品を作り上げた。「鼓動というタイトルを付けたが、見る人によってどのように感じてもらえるかが楽しみ」と久保島さん。

 7日~9日、14日・15日、21日・22日の10時~15時は、JR逗子駅前と旧県立逗子高校間を結ぶ無料シャトルバスを30~40分間隔で運行する。

 ZAFは今月29日まで、週末を中心に開催する。

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