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逗子・小坪の自宅で養鶏 卵との物々交換の輪、SNS通じ広がる

吉田健一郎さん。鶏小屋の前で

吉田健一郎さん。鶏小屋の前で

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逗子在住の会社員、吉田健一郎さんが自宅で飼育する国産鶏「もみじ」(後藤ふ卵場)の卵との物々交換をフェイスブックで呼びかけ始めて3カ月がたち、地産地消の輪が広がっている。

鶏小屋に産みたての卵

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 逗子の野山を走り回って遊び、地元の海岸で獲れるテングサで祖母が作るところてんを食べるなどの経験をしてきた吉田さんは「漠然とだったが、自然豊かな逗子ならば、食べる物は手の届く循環型で暮らせないかと思い、2009(平成21)年、5羽で養鶏を始めてみた」と振り返る。当時の家は池子の森が近く、野生のハクビシンなどに何度も襲われたという。

 5年前、亀が岡団地(小坪)の高台に越し、鶏小屋も広く、頑丈にした。「最初は9羽だったので1日に6~7個の卵が収穫でき、家族が食べる量としてちょうど良かった。2年ほどで食用にし、新しくひなから育てる。昨年秋には13羽に増やした。すると家族で食べるには多く、卵が余ってしまうようになったため、SNSで地域の人に物々交換を呼びかけてみた」と吉田さん。

 吉田さんが投稿したフェイスブックは「無料であげます&ください@鎌倉逗子葉山横須賀三浦限定」というグループページ。不用になった家具や電化製品、遊具などを引き取ってもらったり、欲しい物を探したりしている。

 吉田さんは、米店から譲ってもらった「ぬか」で自家発酵飼料を作り、自分で釣った魚のあらや残飯、野草などを与えて育てていることなどを説明し、3月23日に初めて「昨年秋に連れてきたひなが卵を産み始めたので、どなたか地元で肉や魚介類、山菜、野菜等を狩猟、栽培、採集、またはそれらを加工している方がいましたら交換いただけないでしょうか」と投稿した。想像以上の反響があり、4月・5月と月1度、同様の呼びかけを行った。これまでに100以上のコメントが書き込まれ、30人ほどとつながった。実際に、コンブ、ワカメ、タコなどの海産物からタケノコ、梅干し、自家製の塩こうじなど、店や自宅で使い切れないものと24回、物々交換したという。畑をしている人から鶏(けい)ふんを欲しいと言われたこともある。

 「将来、これまで食べられていたものが食べられなくなったり、経済に振り回されたりしても卵や魚などタンパク質は子どもたちに食べさせ続けていきたい。自給自足ではなく、地域の人たちと余ったものを融通し合いながらコミュニティーが広がっていけば」と今後の広がりに期待を込める。

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