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葉山で町木「マツ」植樹 湘南邸園文化祭の一環

葉山で町木「マツ」植樹 湘南邸園文化祭の一環

葉山で町木「マツ」植樹 湘南邸園文化祭の一環

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 「原風景を生かすまちづくりの会」と「葉山環境文化デザイン集団」が11月6日、宿泊施設「相洋閣」(葉山町下山口)の庭に抵抗性マツ2本を植樹した。

植樹を終えて記念撮影

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 「湘南邸園文化祭」内企画「葉山のグランドデザインを考えよう」の一環。湘南地域の原風景を抽出し、それぞれの風土の特徴や懐かしい風景の記憶をたどり、新しいまちづくりのきっかけにしようと取り組む「原風景を生かすまちづくりの会」の代表、長島孝一さんは「湘南の原風景を語る上でクロマツは欠かせない。防風林や防砂林として海岸線に植えたり、隣家との境界線として植えたりしてきたが、年々数が減っている」と話す。

 「戦前の建物などを調査・保全・再評価し、新しい葉山の魅力を創造する」ことを目標に活動している「葉山環境文化デザイン集団」のメンバー、野中康司さんはこの企画について「御用邸周辺から長者ヶ崎の海岸線は葉山随一の景観スポットといえる。開発も続いている。その魅力を未来につなぐため、原風景が描かれた絵葉書や写真を見ながら、現状認識と提案を目的とした。海岸線を歩いた後、原風景には欠かせないマツの植樹をする」と説明。「葉山町には5年ほど前から抵抗性松植樹補助金制度がある。その制度があることもきっかけとなった」とも。

 同町では2016(平成28)年度に松くい虫に強いといわれる抵抗性松の「植樹補助金制度」を始めた。担当の環境課では「町の木として葉山の景観には欠かせないマツだが、年間40本は枯れている」という。1本に付き1万円を上限に費用の半分を補助する。5年たつが、まだ実績はないという。

 植樹の場所となった「相洋閣」は御用邸が面する海岸線に並ぶ。日本私立学校振興共済事業団の宿泊施設で、森戸海岸から長者ヶ崎にかけて連なるクロマツがもともと庭に立っていたが、枯れて空いてしまった場所があった。参加者約10人はシャベルやスコップを手に穴を掘り、高さ1.5メートル程、4~5年物というマツを植え、培養土を入れ、山から切り出した竹で支えた。

 野中さんは「先人たちのおかげで美しい景観に出合えている。この景観を後世に受け継ぐ責任があると思う。たった2本のマツかもしれないが、海岸でゴミを拾ったり、山の下枝切りをしたりするように、何か活動をしないといけない。その思いがつながればいい。1本ずつでも植樹は続けていきたい」と力を込める。

 参加者の一人は植樹を終えたマツを見ながら「森戸神社には侯爵だった細川家が500本の松を寄進した石碑がある。別荘の多かった葉山にはもともとクロマツが似合っていたのではないか」と話していた。

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