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逗子アートフェスティバルのワークショップ「空き家おくりびと」 器に物語を

現代美術家のYABESOY(やあべそい)さん。多数の器が置かれている会場の一室でワークショップに取り組む参加者たちと

現代美術家のYABESOY(やあべそい)さん。多数の器が置かれている会場の一室でワークショップに取り組む参加者たちと

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 「逗子アートフェスティバル2020(以下、ZAF)」の企画「空き家おくりびと」のワークショップ「器に物語を紡ぐ」が8月23日、逗子市立図書館近くの住宅街にある森川邸(逗子市逗子4)で行われた。

年季の入った廊下の一角にも物語が添えらえれた器が並ぶ

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 会場となった森川邸はラジオパーソナリティー森川いつみさんの祖父が戦後、建てた家で、森川さんも暮らしていたことがある。「昨年、一人暮らしだった母が亡くなり、この家をどうしたらいいか悩んでいた。空き家にしておくならば壊すという選択肢もあったが、祖母をはじめ、父も叔母も地域の皆さんと活動してきたので、一時でも地域で使っていただけることがあればとも思っていた」と森川さん。

 以前より知り合いだった現代美術家のYABESOY(やあべそい)さんから「空き家で何かアート活動をしたい」と森川さんに提案があった。逗子在住のYABESOYさんは「空き家問題など都市や時代が抱える問題に、市民と行政が一体となりアプローチできるのが地域の芸術祭の魅力であり、ギャラリーでの展示と大きく異なる」と考え、ZAFにアーティストとして参加している。

 建物は2世帯で暮らせるほどの広さで、縁側や茶室があり、食器類や花瓶、こけしなど民芸品も数多く残っている。家に足を踏み入れたYABESOYさんは「芸術品ではないが、生活に根付いた質のいい食器で、お皿だけでも100種類はある。最初は私が作品に使う以外の物は販売することを考えたが、皆さんの感性を添えてみたいと思うようになった」と話す。

 ほこりを払い、仕分けをするだけで1カ月かかったという。欠けてしまった器も砕いてシーグラスにしてよみがえらせることを考えている。

 ワークショップでは、参加者がコップや皿、茶碗や酒器などを手に取り、それぞれが感じたことを文章にし、キャッチフレーズやタイトルを付けて並べた。自分の実家や昭和時代の暮らしを思い出すという声があった。

 2013(平成25)年に始まったZAF。今年も10月9日~25日に逗子市内各所で開催される。YABESOYさんが森川邸に眠っていた器で作る作品の展示「空き家おくりびと」は10月10日~25日の金曜~日曜と祝日に開かれる。

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