逗子在住の海外絵本専門店「yack yack books」店主の山中タイキさん自ら描き下ろした絵本「a little tree feels」が10月1日、発売された。
山中タイキさん自ら描き下ろした絵本「a little tree feels」
都内在住でサッカー少年だった山中さんだが、近所にシネコンができたことで映画を見に行くようになり、映画の仕事がしたいと思いアメリカへ。ニューヨークのエンターテインメントに触れたり、人と交流したりして帰国。その後、ロンドンに渡り、アートスクールでイラストを学ぶ。そこで、クラスメートに絵本を作ろうと誘われ、セイウチの女の子がヨガをするという子ども向けの絵本制作に関わり、イラストを担当した。
山中さんは「どういう風に絵本を構成し、どういう流れで出来上がっていくのかなどを知ることができ、それを機に、本屋を巡って気に入った絵本を集め始めた。絵本は子どものものと思っていたが、大人になったからこそ理解できる絵本もあると思えるようになった」と話す。
帰国して、ラジオのDJや話す仕事、アートの仕事をかけ持ちしながら、2017(平成29)年、都内の目黒川沿いに週末だけ営業する海外絵本の店を構えた。
庭に木がある平屋の家を求めて、4年前に逗子に移住した山中さんは「サンタクロースの絵本はあるけれど、サンタクロースに奥さんがいたらどうだろう、というようなどこかサブ的な視点の、隙間を埋めるような絵本が作れたらと頭の片隅にずっとあった。昨年9月、担当していたJ-WAVEのラジオ場組を終えて、慌ただしかった日々から落ち着きを取り戻し、毎日絵を描くようになった。3月にドイツのボローニャで開催されたブックフェアに行き、本を作ることへの刺激を受け、絵本作りに取り組み始めた」と振り返る。
同作は、木を主人公にした32ページの物語。山中さんは「母親が僕を生むときに、『この木なんの木、気になる木』というコマーシャルをテレビで見て『大樹』の名を付けたと聞いていたので、木の話にはしたかった。逗子に越してきて驚いたことは、朝、鳥の声で目が覚めること。第一運動公園にポツンと立っている大きな木もイメージにはつながっている」と話し、「何年たっても、どうしてこの絵本を1冊目として作ったのか、思い出せる本、戻ってこられる本にしたかった」とも。
価格は2,000円。仕様はA5サイズで、長辺をリングでとじた製本。日本語・英語併記。
山中さんは今月22日17時~18時、逗子アートフェスティバルの企画「Who’s ART トークイベント」にトークゲストとして出演する。会場は逗子文化プラザホール。28日・29日には、池子の森自然公園で開催される「池子の森の音楽祭」に出店し、同書を販売する。「yack yack books」の通販サイトでも扱う。