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逗子で東逗子駅開業までを描く演劇上演 70年前の台本をきっかけに

主催者の萩生哲郎さん。東逗子駅開業70周年記念演劇「小さな駅の物語」の稽古中に

主催者の萩生哲郎さん。東逗子駅開業70周年記念演劇「小さな駅の物語」の稽古中に

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 東逗子駅開業70周年記念演劇作品「小さな駅の物語」が12月18日、逗子市立沼間小学校(逗子市沼間1)の体育館で上演される。主催は「Seaside Classics(シーサイド・クラシックス)」(逗子市)。

東逗子駅開業70周年記念演劇「小さな駅の物語」の稽古中

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 上演のきっかけは、1946(昭和21)年、国鉄・逗子駅から横須賀駅の間にある沼間地区に駅を作りたいと願う同地区の住民で三田村正治さんと佐藤正さんが台本を書き、沼間男女青年会の有志が五霊神社で1度だけ上演した芝居「十年後の沼間」。萩生哲郎さん(Seaside Classics)が7月、三田村さんの手元に台本が残っていると知り、「時間的に大変だと思ったが、開業70周年を迎えた今年に再現してみたかった」と振り返る。同作品では作曲とピアノ演奏を担当する。

 萩生さんの呼びかけで企画制作・脚本を担当した「ベルガモット Zushi」の田中美奈子さんは「三田村さんの台本の解読に時間がかかったが、東逗子駅開業70周年の最後に、70年前にタイムスリップし、駅や地域への思いを新たにしてほしかった」と話す。内容の一部を踏まえて史実をもとに、東逗子駅開業に至るまでの地域の人々の奮闘を改めて描く。

 当時の台本を提供した三田村さんは「満州から引き揚げてきた佐藤さんは電気もない部屋に住んでいたので、持参したろうそくの明かりの下で一晩中、私の思いを聞いてくれた。私も学生時代、演劇部だったので一緒に台本を作り上げた。佐藤さんはその後、神奈川新聞の通信員になった」と振り返り、「台本巻末には、佐藤さんが作詞した沼間音頭も掲載した。その頃、沼間に住んでいた作曲家の吉田正さんが曲を付けてくれたが、いわゆる音頭っぽい音頭ではなかったので、みんなに反対され、ボツになって踊ることはなかった」とも。萩生さんは「沼間音頭は今回、子どもたちが覚えやすく、穏やかな沼間に合った曲を付け、上演で初めて披露する」と話す。

 鉄道好きな萩生さんは東逗子駅に止まる電車の音にもこだわった。「走っていたのは横須賀線70系と同じモーターを使った80系。その電車の音がCDになっていて、たまたま10年ほど前に購入していた。権利者に連絡して上演で使うことを承諾してもらった。当時、沼間の人たちが聞いたであろう電車の音も楽しんでもらたい」と笑顔を見せる。

 芝居にはプロの俳優のほか、募集に応じた沼間小学校の1~2年生の親子や逗子開成中学の演劇部に所属する中学生も参加する。中学2年の袖岡遼さんは「学校の演劇部だけでは経験できない環境で芝居をやってみたいと応募した。東逗子駅の駅長という大役をもらい、緊張している」と話す。

 田中さんは「上演は体育館で行うが、照明も音響も大道具もプロに依頼した。沼間の民話など独特な話も盛りだくさんで、見応えのある舞台を楽しんで」と呼びかける。

 11時30分開演(11時開場)と15時開演(14時30分開場)2回公演。前売り券の価格は、一般=2,500円、中学生=1,500円、小学生=500円。当日券は、一般=3,000円、中学生=2,000円、小学生=1,000円。いずれも未就学児は無料。オンライン配信も行う。配信期間は12月25日~来年1月25日。料金は1,500円

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