葉山の御用邸に通じる国道134号沿いにあるバス停「旧役場前」(逗子行き方面)に木造・銅ふき屋根の上屋(24.3平方メートル)が完成し、3月28日にお披露目式が行われた。
バス停は葉山町役場の庁舎が1984(昭和59)年に現在の場所に移転するまで所在していた場所(1806.45平方メートル)の前で、上屋は道路から盛り土された役場跡地まで階段が設置された。町内の鈴京土木、高梨秀左官店、鈴勝板金と共に施工に携わった渡部建築の渡部祐二さんは「総ヒノキで宮大工の木組みに似た新しい技法を用いた。壁がないので耐震の強化に苦労したが、後世に残る建築物に携われて良かった」と笑顔を見せる。
同国道は天皇家が御用邸の往復に使うことから通称「行幸通り」と呼ばれ、令和に変わる2018年に立ち上げられた「改元奉祝実行委員会」では「葉山町として独自に感謝とお祝いの気持ちを表す記念として後世に残るものを」という視点から、旧役場前のバス停に趣のある屋根を設置することを検討してきた。
式であいさつした山梨崇仁町長は「役場があったという思い入れのある場所に、日本一と思える大きなバス停を完成させることができてうれしい。しおさい公園の六角堂、南郷公園のあずまや『梓(あずさ)亭』と併せて御用邸のある町としてシンボル的になり、町民の皆さんに親しんでもらえたら」と話す。
町議会議長の待寺真司さんは「以前は少し逗子寄りにあり、歩道も狭く、最も危険なバス停と言われてきたが、隣接する玉蔵院の協力もあり、現在の位置に歩道を広くして移動できた。今回、上屋ができ、町で最も安全なバス停になった」とあいさつした。町内会連合会長の守谷寿浩さんは「鉄道の駅がない葉山にとってバスは大事な公共交通機関。立派なバス停をきれいなまま維持できるよう町内会としても努力したい」と喜んだ。
山梨町長は「町制100周年に向けて、上屋が続く旧役場跡地の利活用も計画を進めていきたい」と意欲を見せる。