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逗子にある「徳川家達の旧別邸」 今後の活用見据え臨時開場へ

見晴らしのいい高台に建つ徳川家達の旧別邸(郷土資料館)。廊下からの眺望

見晴らしのいい高台に建つ徳川家達の旧別邸(郷土資料館)。廊下からの眺望

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 逗子市は、「徳川家達旧別邸」(桜山8)の文化財収蔵展示施設としての利用を廃止するための条例改正に伴い、2020(令和2)年1月9日までパブリックコメントを募集している。市民の要望によりその期間に合わせて14日・17日・22日と臨時開場を行う。

「徳川家達の旧別邸」(郷土資料館)の入り口

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 「徳川家達旧別邸」は逗子湾を臨む丘陵地に建つ木造平屋建(建築面積約266平方メートル)で、1912(大正元)年、横浜の実業家の別邸として建てられたと伝えられ、1917(大正6)年から1944(昭和19)年までは徳川家第16代当主・徳川家達(いえさと)が使用した。同市の資料には「建物の平面はT字形で、西側にある8畳の和室4部屋が一直線に連ねる間取りは、海側の眺めを重視したためと言われている」とある。相模湾に浮かぶ江の島や丹沢、富士山を一望できる。

 1984(昭和59)年、市制施行30周年を記念して有料施設「郷土資料館」となり、逗子の歴史や民俗、ゆかりの文学作品等に関わる資料を展示してきた。当初は年間約4000人の来館者があった。

 同市の緊急財政対策プログラムにより2018(平成30)年度からは休館している。担当の社会教育課は「もともと居宅として建てられているため文化財資料等の収蔵展示に必ずしも適切な構造ではなく、ここ数年は老朽化による雨漏りや害虫の侵入などもあり、施設の充実を図ることが難しいばかりか資料の適切な維持管理にも支障をきたしている」と説明する。

 「郷土資料館としての役割は一定程度果たしたものと考え、令和元年度をもって文化財収蔵展示施設としての利用を廃止するため、設置について規定している逗子市都市公園条例の一部改正(郷土資料館に関する部分の削除等)を考え、パブリックコメントを募集中」と言う。

 11月16日に市役所で説明会が開催された。その際に参加した市民からパブリックコメント募集期間中に開館してほしいという声があり、担当課は風入れの日に開場を決めた。22日には条例改正に伴い、担当課となる緑政課同席の説明会も開催予定。

 建物の存続を願う市民は「徳川16代当主家達の旧別邸(郷土資料館)等の存続を求める陳情が議会(民生常任委員会)で不了承となったため来年度の修繕予算も確保されるかどうか不安だが、あの場所に歴史的価値のある建物が残ることは逗子にとっても大きな財産」「登録有形文化財として申請することもできる。大切に見守りたい」と話す。

 臨時開場は11時~13時(22日のみ14時まで)。説明会は22日10時~11時30分、市庁舎5階 第2会議室。

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