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石原裕次郎さんも通った葉山の中国料理店「海狼」、9月末で閉店へ 

店前に貼られた「閉店のお知らせ」

店前に貼られた「閉店のお知らせ」

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 葉山の中国料理店「海狼」が9月30日、閉店する。

海狼の入り口。マンションの2階にある

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 前身は葉山御用邸が完工した1894(明治27)年に創建された割烹旅館「かぎ家」。店内には、御用邸に料理を届けるために出入りし、御用邸の鍵を預かっていた頃のゆかりの品も陳列している。

 その後、1978(昭和53)年に中国料理店「海狼」となった。母、山本松子さんから受け継いだ当時の4代目店主、山本淳正さんは俳優、故石原裕次郎さんの友人で、小説「太陽の季節」の登場人物のモデルにもなった人。淳正さんの著書「友よ~太陽族 裕次郎の素顔」には、石原慎太郎さんが「かぎ家」に泊まり込んで執筆したことや東宝や日活のロケ宿だったことなどが書かれている。「海狼」は地元では石原裕次郎さんが足繁く通った店としても知られる。

 2005(平成17)年に山本淳正さんが亡くなった後は、淳正さんの妻と子が店を切り盛りしていたが、2017(平成29)年から村松由紀桂さんが店の経営を引き継いだ。村松さん(葉山在住)は、約15年、横浜で経営コンサルタントとして店舗経営や改革に取り組んでいた。「この2年、歴史のある『海狼』という名前のプレッシャーをいい意味で背負っていた。ある意味、貴重な経験をさせていただいた。老舗ブランドに胡坐をかくことなく、刷新しながら、一方で歴史を守りながら黒字転換をしてきた」と振り返り、「来年のオリンピックイヤーに向けて、葉山らしいグローバルな町づくりにも貢献できると思っていたが、閉店は残念」と村松さん。

 今後、村松さんはSDGs(Sustainable Development Goals)の啓発活動を目的として2年前に立ち上げたNPO「HAYAMA GLOBAL」を通じて、葉山のグローカルな場所づくりや日本に住むアジア人女性の自立支援などに取り組んでいくという。「この2年、葉山で経営に携わり、お客さまと接しながら、ソーシャルビジネスの根幹がみえてきた」とも。

 閉店の案内を見た地元の男性は「昔から祝い事や法事などがあれば海狼か日影茶屋だった。皇室ともつながりがあり、葉山になくてはならない老舗だったのに寂しい」と惜しむ。

 村松さんは「『海狼』という名前に40年、葉山の中でご苦労さまと言いたい。いろいろな思い出のある方々に最後にお越しいただけたら」話す。

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