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逗子海岸で地元住民がウニ駆除 海の磯焼け対策、葉山牛の農家でたい肥化へ

捕獲したウニ

捕獲したウニ

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 逗子海岸の磯場で7月15日、地元サーファーや海岸で活動する団体の仲間や家族ら約150人が小坪漁業協同組合と協力し、ウニの駆除を行った。主催は「大崎ローカルズ」「735 local-styal」。

干潮の磯場でウニを捕獲する参加者たち

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 磯場で大繁殖し、磯焼けの原因となっているウニ。「磯焼け」は、ワカメ、カジメ、アカモクなどの海藻類が急激に死滅する現象で、「海の砂漠化」ともいわれる。漁業者によると、サザエやアワビなど海洋生物の産卵場所やえさ場である海藻群が無くなることは、海産資源の減少などにも直結するという。

 「磯焼けの原因は海水温上昇によるもの考えられているが、大繁殖しているウニによる食害も要因の一つ」とも。神奈川県水産技術センター(三浦市)によると、三浦半島では2003(平成15)年ごろから磯焼けの報告を受けており、現在全国的に被害が広がっているという。ウニはえさがなくても育つためどうして大繁殖しているのか原因は不明としている。

 駆除活動の声掛けを行った神奈川県議会議員の近藤だいすけさんは「4年前、葉山の漁師から磯焼け被害を聞いて、実際に潜ってみて大変さを実感した。県政で話題にしたり、研究機関に相談したりしてきた」と振り返る。「逗子でもサザエの漁獲が減るなど被害は顕著だったが、磯でマリンスポーツをする人たちがウニを踏む被害も増えてきた。そこでサーファーや海岸で子どもたちと活動している仲間と話し合い、大崎の磯を浪子不動側からと小坪漁港側からと二手に分かれてのウニ捕獲をすることにした」と話す。

 この日は、小雨の中、朝8時に約150人が集まり、1時間30分で約2万1000個、950キロのウニを捕獲した。参加者たちは「岩の穴という穴にウニが入っていて驚いた」「当たり前だが海は広い、手作業で行うしかなく、1000分の1すらも取れなかったのでは」などと話していた。

 捕獲したウニは潰して洗い、4トントラックで葉山牛を生産している「石井牧場」に運ばれた。食品衛生管理HACCP(ハサップ)認証を受けている同牧場では、牛小屋のたい肥も自家発酵した物を使っているといい、ウニも約半年かけて発酵を繰り返し肥料にする予定という。

 近藤さんは「ウニの駆除は漁師さんの理解なくして実現できない。全国でさまざまな磯焼け対策が行われているが、海岸利用者と漁業者が協力して行うことは珍しい。まだ第一歩だが、行ってみて次の課題も見えた。経年変化や捕獲したウニの有効活用など今後は研究機関と共に効果と対策を行っていきたい」と意欲を見せる。

 小坪漁業協同組合長の大竹清司さんは「ウニを駆除することはとても難しいが、サーファーの皆さんが活動している場所だけでも続けてもらえたら助かる」と話す。

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