葉山の海辺を描き続け昨年1月に亡くなった洋画家の永井龍子さんをしのんで4月10日から、絵画展「渚の詩」がしおさい公園 博物館1階ロビーで開催されている。
龍子さんの葉山の家にあった数多くの絵などを整理して引き取った龍子さんの3女・佳恵さんは「母は最期まで病気は治ると思っていたので、友達や一緒に活動していた仲間の皆さんにも見舞いに来なくていいと言っていた。お別れもできていなかったので、絵が整理できたらお別れのごあいさつも兼ねて、展覧会が開けたらいいなと思っていた。ISSHIKI BEACH ARTの皆さんから声を掛けていただき、手伝ってくださったおかげもあり実現できた」と話す。
「ISSHIKI BEACH ART」は一色海岸のどんど焼きに合わせて一色をアートで盛り上げようと永井さんらが立ち上げ、2014年から「一色海岸アート展」を行ってきた。しおさい博物館ロビーは同展を開催してきたゆかりの場所。
佳恵さんによると、良い状態で残っていた油絵やアクリル絵画などは約50点。学芸員で長女の理恵さんと画家の道を継いだ次女の魅恵さんが約20点を選んだ。
絵画展の準備に参加していた魅恵さんは「晩年は葉山の海岸の夕暮れを好んで描いていたが、海外にも行き、歩くことが好きで、写真もよく撮っていた。母が大切にしてきた世界観を表しているようなストーリー性のある絵を選んだ」と説明する。3姉妹を育てている頃は、子どもが寝た後に描いていた龍子さん。大人になるまで母親が描いている姿をあまり見たことがなかったという。
佳恵さんは「母は展覧会に出した絵でも戻ってきた後に手を入れていた。病院でも、今まで納得できた絵は1枚もない、ここでゆっくりしている場合じゃないと言っていた」と母親の思い出を語る。
永井さんは1971(昭和46)年、葉山に越してきた後、多くのボランティア活動にも携わってきた。2002年には「葉山・花と緑のまちづくりをすすめる会」を設立。代表を務めた。2013年には「あじさい公園」に120本のあじさいを植樹した。亡くなる前月の12月、病床でスケッチブックに描き始めた最期の絵はあじさいだったといい、会場でも紹介している。
開催時間は8時30分~16時30分。4月13日まで。