ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者、オリヴィエ・ゴアさんの日常を描いたフランスのドキュメンタリー映画「不屈の夏(Invincible Ete)」の上映会が2月23日、逗子文化プラザなぎさホール(逗子市逗子4)で開催される。
2020年にALSと診断されたオリヴィエさんは残された人生のカウントダウンを無視することに決め、テクノロジーに情熱を注ぐ起業家として、家族を守りたいと願う父として、不治の病に笑顔で立ち向かい、同じようにつらい患者と家族を励まそうと映画を製作した。仏では2カ月で20万人を動員し、世界5カ国で上映されている。
上映のきっかけを作った逗子在住の畠中一郎さんも2022年8月、同じ病気と診断された。その1年後、「一般財団法人すこやかさ ゆたかさの未来研究所」(東京都千代田区)を立ち上げた。患者やその家族を孤立させないように寄り添い、電動車いすなどの最新器具や情報などを紹介している。ほぼ毎日、専用の電動車いすで逗子から都内まで電車通勤している。
昨年夏、フランスで休暇中に偶然見たテレビ番組でオリヴィエさんを知った。「人を助けることがミッション」「未来の患者のために戦う」と、自分と同じことを言っている、直接話したいと思い、畠中さんはオリヴィエさんにメールを送る。すぐに返信があり会うことになる。「会ったときには短い音しか発声できなくなっていたが、大学生の息子がうれしそうに父親に寄り添い、通訳してくれた」と畠中さん。
昨年11月、東京・新宿で特別試写会を開き、300人の会場は満席となった。一般公開の準備が進む一方、個別上映会の要望もあり、畠中さんが住む逗子市から始めたいという市民有志の思いもあり、2月23日の上映が決まった。実行委員会の呼びかけもあり、2日間で500席分の申し込みが終了し、追加上映会も決まった。
上映に当たり、畠中さんは「この映画は決して難病患者の闘病記ではない。だんだんいろいろなことができなくなることは老化とも似ている。元気な人と病人や高齢者との間に線を引かず、誰もが社会に出ていかれるにはどうすればいいか、共に考えてもらえたら」と呼びかける。
10時開場、10時20分開映。入場には無料整理券(先着500枚)が必要。逗子市の特別サイトから申し込むか、逗子文化プラザホールで受け取る。