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葉山の旧平野家住宅主屋が国有形文化財に 材木商が建て娘に守られ80年超

葉山町10件目の国登録有形文化財となった旧平野家住宅主屋

葉山町10件目の国登録有形文化財となった旧平野家住宅主屋

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 葉山にある旧平野家住宅主屋(葉山町堀内牛ヶ谷)が11月24日、国有形文化財に登録されることが決まった。

現在、コミュニティースペース・宿泊施設「平野邸Hayama」として活用されている

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 文化審議会からの文部科学大臣答申を受け決定した。これで葉山町内にある国有形文化財の登録件数は10件となった。

 平野家住宅は大正時代、樺太(現、サハリン)で材木商を営んでいた施主が娘たちの健康を案じて、温暖な葉山に1936(昭和11)年、建築した木造の近代和風住宅。

 桟瓦(さんがわら)ぶきで、庭に面して濡縁(ぬれえん)、榑縁(くれえん)付きの座敷を雁行(がんこう)状に配し、背面には随所に銘木を用いた中2階の座敷を1938(昭和13)年、増築した。

 2018(平成30)年、住み続けた次女が亡くなり空き家となった。1939(昭和14)年、同家の和室で産まれた四女とその娘が家を残し、地域で活用してもらえたらと葉山で歴史的建物や景観の調査、保全活動をしている「葉山環境文化デザイン集団」の連絡先を調べて相談。古民家再生や宿泊業を手がける「グッドネイバーズ」(鎌倉市)とともに2020年、コミュニティースペース・宿泊施設「平野邸Hayama」として地域に開かれた建物として活用が始まった。

 四女は「暮らしていた家が登録有形文化財として認められ、うれしい驚き。今後も守っていかねばと責任の重さも感じる」と喜び、「葉山には古き良き昔と変わらない手作りのぬくもりが暮らしの中にある。法事などで帰ってくるとホッとする。この家に明かりが灯っていると昔、大家族だったころの我が家のよう」と話す。建築の際の図面などが次女から大切に受け継がれていたこと、リノベーションした際の図面があったことなどから答申の際の調査もスムーズに進んだという。

 神奈川県内ではほかに、旧国鉄総裁石田家国府津別邸主屋と別邸洋館(小田原市)、真言宗寺院大山寺本堂(伊勢原市)、箱根美術館本館・別館・休憩所(箱根町)など15件が登録となった。

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