逗子の池田通りにあるデリ&カフェ「エイド・キッチン」(逗子市逗子1)で7月29日、親子向け「ワラーチ」作りワークショップ「自由研究に作って走ろう」が行われた。
ワラーチは、「走る民」とも呼ばれるメキシコのチワワ州固有の先住民族ララムリ(タラウマラ族)が使っている古タイヤ製のサンダル。素足に近い感覚が特徴で、特にランナーから関心が寄せられているという。
同店オーナーシェフの郡山総平さんは、トレイルランニングやサーフィンを趣味とするスポーツマンで、アスリートフードマイスターの資格も取得しているという。店では体作りや疲労回復などを意識した料理を提供している。
郡山さんは約7年前、アメリカでベストセラーになったクリストファー・マクドゥーガルさんの著書「BORN TO RUN」に出合い、同書の中で紹介されていたタラウマ族のサンダルに関心を持ち、調べて作ってみたという。ところが長持ちせず、トレイルランニング仲間の紹介でワラーチ作りの講師、板井麻恵さんとつながった。大人向けのワークショップはこれまで2回行ってきた。今回は子どもたちにも経験してもらおうと夏休みに行った。
同ワークショップ講師の板井麻恵さんも「BORN TO RUN」がきっかけで、ワラーチ製作を始めたという。現在、「裸足のランナー」の肩書で山を走ることを楽しむ一方、住まいのある千葉県千葉市から全国へワークショップ講師として出向いている。
板井さんは「私自身が足を痛めて走れなくなった後、ワラーチで走れるようになった。足の故障で走ることを断念してしまう人に伝えたいと思って広めている。ワラーチは人間が本来持っている走り方を引き出すのだと思う」と話す。「ワラーチの製作キットの種類はおそらく日本で一番持っている」とも。
この日のワークショップには親子6組が参加。製作を始める前のランチタイムではタコスパーティをした。郡山さんが、体に優しい素材を使い、子どもにも食べやすいメニューとして、トルティーヤ2種とソーセージ、エビのカレーマヨ、マグロとサーモンのポキ、チリビーンズ、スパイス卵など準備した。
講座ではひもや靴底などのキットを選び、足型を取り、切ったり、穴を開けたりして、最後はひもを足に合わせてセットした。夏休みの自由研究を兼ねて参加したという中学2年生の女子生徒は、工程ごとに母親が写真を撮って協力していた。
完成後は約10分歩いて逗子海岸へ行き、砂浜の上で歩いたり、波打ち際で走ったりしてワラーチの感触を確かめた。参加者からは「足を上げた時は何も履いていないような感覚」「ビーチサンダルだと脱げやすいが、ワラーチは走っても脱げないため思い切り走れる」「海の中に入っても脱げない」など自分が作った作品を自分の足で味わった声があがった。
郡山さんは「子どもたちの集中力に感心した。自分で作ることで、物を大事にすることも覚えてほしい。今後もワラーチの魅力を広めていきたい」と話す。