企画展「挑発関係=中平卓馬×森山大道」が7月15日、神奈川県立近代美術館葉山(葉山町一色)で始まった。
「プロヴォーク 思想のための挑発的資料」(1968-1969)に発表した作品の展示
今も逗子で暮らす写真家・森山大道さんは一時期、同じ逗子に暮らし、海で遊び、語らい、一緒に仕事をした写真家・中平卓馬さんへの思いを「唯一の親友でライバルだった」と言い、写真集「Nへの手紙」(2021年、月曜社)に込めている。2人は1960(昭和30)年代から路上で撮影するスナップショット作品を発表し、「アレ、ブレ、ボケ」と呼ばれる独自の技法で世界的に知られる。
森山さん中平さんにとって地縁のある同館で初企画展を担当した学芸員の高嶋雄一郎さんは「2人はこの美術館のある葉山にも通い、写真を撮っていた。ここで作品を見た後、実際に2人が写し、歩いた葉山、逗子をたどってほしい」と話し、タイトルの「挑発関係」は森山さんの言葉の中から選んだという。
展示は、時代ごとの写真作品を雑誌などの資料と共に振り返ることができるよう工夫している。写真作品約100点、書籍約50点のほか、森山さんの写真誌「記録」54冊に収められた全画像や中平卓馬さんの著書「なぜ、植物図鑑か」などをスライドで紹介している。
高嶋さんは8月2日10時から、逗子市役所会議室で同展について講座を開き、2人の交流や作品について紹介する。参加無料。社会教育課まで申し込む。
森山さんの逗子での作品を中心に写真展を開いてきた「zushi art gallery」(逗子市逗子5)では同展に合わせて、ギャラリーコレクション展「森山大道+西村陽一郎」を9月24日まで開催している。次回作の撮影で訪れた森山さんは「地元の皆さんに楽しみにしてもらえるのはうれしい」と話す。
近代美術館の開館時間は9時30分~17時(入館は16時30分まで)。月曜休館(9月18日を除く)。入館料は、一般=1,000円、20未満・学生=850円、65歳以上=500円、高校生=100円、中学生以下無料。9月24日まで。