逗子の蘆花記念公園(逗子市桜山8)で6月2日、清掃ボランティア団体「蘆花美利維(ろかびりい)倶楽部」が地域住民と梅の実を収穫した。
同公園は、1984(昭和59)年、市制30年を記念して整備された際、1897(明治30)年から4年間、近くの旅館で徳富蘆花が執筆していたことから、徳富の名を冠にした。桜やつつじ、紅葉など多種類の樹木に囲まれた広場で、花見や散歩など市民の憩いの場として市緑政課が管理している。
4年前に夫婦で同倶楽部を立ち上げた渡辺清史さんは「逗子に越してきて初めて訪れた時は、遊具も花壇もなく、草は伸び放題で公園というよりは空き地という印象だった。その後、犬の散歩コースとなり、愛着がわき、公園内に清掃道具を置いていつでもごみを拾い、草刈りができるようにと活動を始めた」と話す。
梅の実収穫は、昨年から始めた。同公園に1本だけある梅の木は、市でも把握できていないほどの古木だが、毎年実をつけ、地面に落ちて朽ちていた。そのことに気づいた渡辺さんたちが、アダプトプログラムの一環として地域住民に収穫を呼び掛けた。収穫した実は、昨年も果実酒やジュース、ジャムなどにして味わったという。
収穫当日は、家族連れなど約15人が参加し、渡辺さんら男性が枝を揺らして落とした実を拾い集めた。昨年より小ぶりだが、約10キロが収穫され、参加者らが持ち帰った。
参加した女性は「こんなに家のすぐ近くで自然の梅が採れるなんてうれしい。早速、氷砂糖に漬けます」と喜んだ。初めて参加した男性やこれから逗子に住む予定の家族連れも「この公園でまたこういうイベントがあれば参加したい」と話した。
渡辺さんは「清掃や草刈りだけではなく、桜の木の下で野だてを企画したこともある。自分たちが親しんでいる公園は行政だけに任せず、無理のない範囲で見守り育てていきたい」と倶楽部への参加を呼び掛けている。