葉山町が5月17日、英国セーリングチームが2020東京オリンピックに向けて、同町を拠点に2018年~2020年の3年間事前キャンプを行うことについて、4月24日付けで協定を締結したと発表した。
協定は、同町と宿泊施設としてセミナーハウスを提供する大同生命保険と英国王立ヨット協会の3者によるもので、昨夏に行われたキャンプの実績を踏まえたもの。この日は同町役場町長室で山梨崇仁町長と英国王立ヨット協会五輪パフォーマンスマネジャーのマーク・ロビンソンさん、大同生命保険喜田哲弘会長の3者懇談も実施された。
葉山町は日本ヨット発祥の地として環境も整っており、ウインドサーフィンの選手だった山梨町長自らも熱心に誘致。「東京オリンピックでベストパフォーマンスができるよう町を有効活用していただきたい」とあいさつした。
宿泊施設となる大同生命保険のセミナーハウス(葉山町堀内)は1995年から従業員の「学び・成長の場」として活用され、東日本大震災の時には避難所としても提供された。合宿期間に当たる7月~10月は企業が社員研修などで利用するハイシーズンのため、宿泊所の選定は大きな課題だった。喜田会長は「私もセーリングと出会い、海に出ることで人生が3倍楽しくなったと感じている。30年前はこの葉山の海にも来ている。会社の研修は別の場所でもできるが、英国にとっての大切なこの期間をお手伝いできる機会はほかにない」と施設を提供した理由を語った。
英国セーリングチームはオリンピックで世界最多の金メダル28個を獲得している強豪。マークマネジャーは「英国のセーリング人口は30万人規模。歴史もあり、科学的な研究も進んでいる」「葉山は自然も、施設も協力的な町の雰囲気も素晴らしい」と話す。
町では、通訳やキッチンスタッフなどの仕事を通して町民が活躍している。昨年の6月に英国チームが最初にキャンプを始めた時から通訳兼ドライバースタッフとしてローカルボランティアをしている鈴木秋穂さんは「オリンピックに向けて地域の役に立ちたいと思い応募した。言葉を訳す通訳としての意義はもちろんだが、滞在中にいかに葉山を楽しんでいただけるか、練習に専念できる環境を整えてあげられるか、というマネジャー的な視点を持つことにより、通訳以上のお手伝いができ、やりがいがある」と話した。
懇談の最後に、町の職員から昨年のキャンプの写真をまとめたフォトブックがマークマネジャーに贈られた。製作した政策財政部の大前正嗣さんは「英国チームの皆さんは練習で忙しいにもかかわらず、外国人サミットなど地域交流会にも積極的に参加するなど協力いただいた。宿泊所にサインをお願いしに来た子どもたちにも笑顔で応じてくれた。ボランティアさんたちだけではなく、いろいろな葉山町民が応援し、歓迎しているという気持ちが伝えたかった」と話す。
8月25日には葉山マリーナ(葉山町堀内)を主な会場として「ヨットフェス」が開かれる。