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逗子のセーラーが大西洋横断レース出場を目指し渡仏 日本人2人目の挑戦

出場資格を獲得するため本番と同じヨットでフランスのレースに参加する鈴木晶友さん(右)(提供=鈴木晶友さん)

出場資格を獲得するため本番と同じヨットでフランスのレースに参加する鈴木晶友さん(右)(提供=鈴木晶友さん)

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 逗子在住のセーラー鈴木晶友さんが9月にフランスで開催される大西洋横断レース「ミニトランザット」の出場資格を得るため3月21日、日本からフランスに向かう。

レースに取り組むドキュメント映画の撮影。(右は)セーラーでもある制作会社の田中慶幸さん

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 Mini6.5クラス(全長6.5メートル、全幅3メートル以内)の小型外洋ヨットで大西洋を単独で横断する同レース。全走行距離は約7500キロ。「ミニトランザット」は外洋レーシングの登竜門とも呼ばれ、40年以上続く歴史ある大会だが、日本からの出場者は1999年以来2人目という。

 鈴木さんは、両親がヨットに乗っていた影響で6歳の時、ジュニアヨットクラブに入ったという。「ヨットは好きだったが、ブイを回って同じところを戻ってくるような練習をやっていても、その先へどんどん行ってしまうような子だった。父のクルーザーで伊豆大島などに出掛けた時、スキルを磨くと遠洋に出られることを知り、いつかは大陸から大陸へ海を横断をしたいと夢見ていた」と振り返る。

 学生時代はディンギーを中心に活動し、国民体育大会入賞、全日本インカレ優勝と好成績を収め、大学卒業以降はキールボートでのレースに参加。2011年からモス級を始め、2013年から世界選手権にも3度、出場している。

 「大西洋を単独で横断したいと考えた時、このレースに参加することが一番安全だと思った。エントリーするために厳しい条件をクリアすることが必要。つまり自分の経験も知識もレベルを上げないといけないし、ボートもレースに出るもので決められたマイルを乗るので、耐えられるかどうか見極められる」と説明する。

 レース中は衛星通信などが一切禁止されるため、気象情報は短波ラジオを受信し、手書きで天気図を作成するという。鈴木さんは短波ラジオをテープに録音し、何度も聞き直して天気図を作成する練習をしている。正確に聞き取らないと嵐に向かってしまう危険性もある。

 必要な条件の中に、クラスミニ協会が開催するレース出場経験合計1500マイル以上と、指定するコース(1000マイル)の単独無寄港セーリングがある。鈴木さんは残り700マイルと単独無寄港セーリングを達成するために3カ月間渡仏する。

 鈴木さんは「昨年このレースに参加しようと決めて800マイルを走った後、もし自分に向いてないと感じたらそこで止めようと思っていたが、とても楽しいと感じられた。賛成してくれた妻には毎日、ありがとうと言っている。社会人になると、レースを止めてしまう人が多いが、僕みたいなセーラーでもこういう夢を描けると発信していくことで、後に続いてくれる人が増えることを願っている」と話す。

 ヨット仲間で制作会社の田中慶幸さんは、鈴木さんのレースの軌跡をドキュメント映画にしようと現在撮影を始めている。

 4月から始まるレースの状況は鈴木さんのホームページに掲載する。

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