6回目を迎えた「葉山一色海岸アート展」が葉山しおさい公園の博物館(葉山町一色)ロビーで1月11日から開催している。主催は「ISSHIKI BEACH ART」。
会場の入り口手前には天皇陛下ゆかりの船が展示されている。旧御用邸附属邸だった所以。アート展は(右の壁)故永井龍子さんの絵から始まる
御用邸のある一色海岸周辺にはもともとアーティストが多く在住し、活動している。町内会長から、一年を通して観光客の多い葉山だが人出が少なくなる1月に「何か町を盛り上げることはできないか」と、最初に相談を受けたのも洋画家の永井龍子さんだった。永井さんが声を掛けた、写真家でもある元郵便局長の鈴木増一さんなどがメンバーとなり、2013年、アート展をスタートさせた。
毎年「どんど焼き」を海岸で行っている日に併せ、海岸に訪れる町の人たちに見に来てもらおうと開催時期を決めた。多くの町民が海岸に関心を持つことで、防災・防犯・福祉・美化などに取り組むための「地域力」を高められると考えている。今年も開催2日目の12日、「どんど焼き」が行われる。
今年の出展者は安藤真司さん(版画家)、春日泰宣さん(手漉き紙作家)、久野康宏さん(編集者)、佐藤正治さん(写真家)、鈴木増一さん(写真家)、つがおか一孝さん(イラストレーター)、中川彩香さん(アーティスト)、松下紀美子さん(金工家)、ミヤジシンゴさん(フォトグラファー)、森嵜周(造形作家)さんら12組。
取りまとめていた永井さんの作品も入り口に展示されているが昨年、会期中に亡くなった。現在、事務局の役目を担っている手拭い作家の菅原恵利子さんは「尽力されていた永井さんがいなくなって続けられるかどうかという話も出たが、メンバーで力を合わせてやっていくことになった。今回は、ギャラリーや美術館ではなく、博物館で開催している意味を含めて『アートを科学する』というテーマを付けた。とはいえ、アーティストがそのテーマの作品を制作するのではなく、博物館の学芸員、倉持さんが解説を書き添えてくださった」と説明。
倉持卓司さんは「博物館にある資料や知識を踏まえ、自然科学の視点から解説を行った。この建物が博物館という研究機関であることを認識してもらえるきっかけになったら」と話す。佐藤正治さんの富士山の作品には「三浦半島と富士山の間に6000メートル級の火山があった」と解説。その火山が残っていたら、一色海岸から富士山を見ることはできなかったという。倉持さんのギャラリートークは13日14時~。
開催時間は8時30分~16時30分。15日休館。20日まで。入園料=300円(葉山町在住70歳以上無料)。来場者には出展者の作品によるオリジナル缶バッジ、アンケート記入者には一色海岸のポストカードまたはポスターをそれぞれ進呈(なくなり次第終了)。