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テーブルフォーツー小暮真久代表の通称「20円本」復刊 逗子での暮らしとは

NPO法人「TABLE FOR TWO International」代表の小暮真久さん。逗子のコワーキングスペースで

NPO法人「TABLE FOR TWO International」代表の小暮真久さん。逗子のコワーキングスペースで

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 逗子在住の小暮真久さんは2009年に執筆した「『20円』で世界をつなぐ仕事」(日本能率協会マネジメントセンター刊行)に新しく書き下ろした章を追加した「完全本 『20円』で世界をつなぐ仕事」(ダイヤモンド社)を10月に出版した。

支援先、ルワンダ共和国のバンダ村で(提供=TABLE FOR TWO International)

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 「『20円』で世界をつなぐ仕事」は小暮さんのデビュー作で、2010年度の「ビジネス書大賞新人賞」も受賞し、通称「20円本」と呼ばれる。小暮さんが代表を務めるNPO法人「TABLE FOR TWO International(TFT)」(東京都)の成り立ちや思い、社会企業としてのスキルや取り組みなどがまとめられている。

 TFTは2007年10月に特定非営利活動法人の正式認定を受け、開発途上国の飢餓と先進国の肥満や生活習慣病の解消に同時に取り組む社会貢献運動をしている。企業の社員食堂などで健康を考えたヘルシーメニューを提供してもらい、価格に加えた20円を飢餓などに苦しむ国の子どもたちの支援に充てるという独自の仕組みを作り、同書によると現在では720以上の企業や団体が参加し、収益(寄付金額)は累計10億円を超える。支援国も当初の3カ国から7カ国に増えた。

 小暮さんは長女が幼稚園になじめないこともあり、都内から伊のフィレンツェに越し、その後、帰国先を検討した際、海や山の自然環境と子どもたちに合った幼稚園との出合いがあり、2016年に逗子に越してきた。「のんびりした町の感じと食べ物が良かった、魚屋さんなど○○屋さんが残る商店街があり豊かさを感じた。海風に当たりながら海岸で考え事をするのもいい」と言い、「逗子という名前の漢字は、豆から偏のしんにょう、道があって子に続くし、アルファベット表記順でZushiは日本の市の中で最後。しんがりから攻めるぞというのもいいかなと、インキュベーションの場にいいかもしれない」と逗子を居住地にした思いを話す。

 現在、都内にある会社に通勤し、国内外に足を運ぶことも多い。逗子ではコワーキングスペースの会員になっている。「都心でもコワーキングスペースが増えている。緩やかな連携があって、面白いことの掛け算もできる場。10年前、TFTを始めた頃に比べると少しずつ社会も変わってきている。会社の仕事にストレスを感じ、会社以外のことを掛け持つ人も増えてきている」と分析し、「これからを考える時、今はテクノロジーを切り口にすることが必要。社会企業もAIを活用していく時代だと感じている」と話す。

 旧版から10年がたち、絶版になっていたこともあり出版に至った完全本。小暮さんは「ビジネス書ではなく、何かやってみたいと思いのある人たちのモチベーションが上がるような本になってくれたらうれしい。起業についての回答ではなく、TFTが成長していく過程が書かれているので、自分が事業を進めていく上での参考にしてもらえたら」と薦める。

 価格は1,500円(税別)。

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