逗子の池田通り商店街で10月31日、「スケッチ会」が初開催された。主催は、逗子市まちづくり景観課が運営発行している広報紙「瓦版」の編集部。
「瓦版」は逗子の景観を市民が身近なものに感じ、共有していくために2012年10月からの取り組み。10月には第61号を発行した。市民で構成するNPO法人「逗子の文化をつなぎ深め広める会」が企画・編集協力している。
毎号、市民に依頼して市内の好きな風景や守りたい景観などについて文章と絵を掲載している。「スケッチ会」は、紙面に載せる町の風景を切り取って絵にすることから始めようと企画した。
講師は鎌倉水彩画塾(鎌倉市小町)を主宰する矢野元春さん。2時間半で作品に仕上がるようなスケッチのワークショップを市内でも開催している。矢野さんは国内でも数少ない「水彩画法」を取り入れた作風で塾生を増やしている。
スケッチ会当日は、参加者7人のうち6人はスケッチの経験がほぼ無く、「本当に描けるのか」と不安なまま始まった。用紙から絵の具、筆まで先生が準備。5つのステップで描き進めた。
矢野さんが選んだ場所は商店街とはいえ、定休日の店も多い場所。「今日は何でもない場所を絵にする練習。初めての人には少し難しい」と矢野さん。
最初は鉛筆でデッサンした。矢野さんは「水平線を決めて。一つ一つの建物を描くのではなく、つながったシルエットのようにとらえて」とアドバイス。次に、大きな部分、空や地面などに色をつけた後、細かな部分を描き、最後に陰影をつけた。1つのステップごとに矢野さんが見本を示し、参加者たちは見本にならって描いていった。
参加者からは「見たままを描くより難しい」「どうしたら先生のように描けるのか」と矢野さんの見本と自分のスケッチを見比べていた。「水彩画は水気を乾かしながら色を重ねていくので乾くまでの我慢と、濃い色で陰影をつけていく勇気が大切。明暗をしっかり」と矢野さん。
10時に始まったスケッチは12時ごろ終了し、最後に参加者の作品を並べて矢野さんが一人一人講評を行った。まちづくり景観課の担当職員は「初めての試みでどうなるかと思ったが、見ていたら自分も描きたくなった」と話していた。
矢野さんは「歩いている人が何人も足を止めてスケッチの様子を見ていた。このライブ感がいい」と逗子での初企画を振り返った。