逗子市内各地で10月12日、「ZAF2018逗子アートフェスティバル」が始まった。
大型インスタレーション作品「ぼくたちのうたがきこえますか」の展示会場で、(左から)企画した長峰宏治さん、アーティストの松澤有子さん、パフォーマンス演出のダンサー、Chiiさん
フェティバルは、市民の文化活動を連携して盛り上げるため、2013年に行政の発案から市民や観光協会、商工会などで実行委員会を立ち上げてスタートした。今年は市の緊縮財政措置により補助金がカットされ、開催が危ぶまれたが、関わってきた市民を中心に存続を希望する有志が集い、フェイスブックで参加者や協力者を募り新たにアートフェスティバル実行委員会を立ち上げ、開催に至った。
JR逗子駅徒歩1分の第1菊池ビル(逗子市逗子1)の屋上、元ゴルフ練習場だった場所では大型インスタレーション「ぼくたちのうたがきこえますか」が12日のオープニングに合わせて完成した。逗子海岸に漂着した小さなプラスチック片を夏に拾い、穴を開け、糸を通し、つなぎ合わせた全長約7メートルの舟が空中に浮かび、風に揺れ、陽に光る。製作には市内外から延べ約500人以上の参加があった。
会場を選んだ実行委員会の一人、長峰宏治さんは「場所を探す担当になった時、海と山と町中に軸となる会場があるといいなと考えた。実際の海は町中から少し離れてしまうので、周りにさえぎるものがほとんどないこの屋上を見て、空間の抜ける感じが良く、ここでなら海にまつわる作品ができそうと思った」と話す。「一緒に場所を選んだ人が、1年前にポートフォリオとの出会いで気になっていたアーティストのご主人だった」と、偶然のつながりからそのアーティスト、松澤有子さんに製作を依頼した。
逗子在住の松澤さんは国内最大規模の芸術祭などで作品を発表している。「タイトルに『ぼくたち』と付けたのは、『わたし』の作品を飛び越えてその先の、自分ではないエネルギーを取り入れたかった。本当にたくさんの人の力を借りて創った作品になった。台風をはじめ、天気の影響もあって、試しては違う、の繰り返しだった。この後、ダンサーのChilさんが塗り絵の線に色づけるようにパフォーマンスをしてくれる」と期待を込める。
4年前、逗子に越して来た際、隣人が松澤さんだった。一緒に何かできたらと話していたChilさんは「この立体的な作品が景色に変わるよう命を吹き込むつもりで披露したい」と話す。ギターやパーカッションらとのパフォーマンス「ツキノウミ」は21日~23日。2回公演(17時~、20時~)。料金は1,000円(小学生以下は無料)。大型インスタレーションの展示は16日・18日・20日・25日・27日。11時~20時。入場無料。
期間中は、逗子のアーティストの発掘と紹介、育成を目的とした「アートフォリオ」(アート+ポートフォリオ)や、親子で描いた塗り絵がアニメになる「コドモーション」などを28日まで市内各所で開催する。