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JR逗子駅前に75年 老舗文房具店「文章堂」、7月で閉店へ

(手前から)店主・大久保杏菜さんと母・前店主の神澤恵さん

(手前から)店主・大久保杏菜さんと母・前店主の神澤恵さん

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 JR逗子駅前ロータリーにある老舗文具店「文章堂」(逗子市逗子2)が7月31日で閉店する。同店が4月24日、SNSで発表した。

JR逗子駅前にある「文章堂」の外観

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 店主・大久保杏菜さんの母で前店主・神澤恵さんの祖父が1950(昭和25)年に印章店として始めた同店。神澤さんは「江戸時代、山梨の甲府周辺で水晶が発見され、水晶の加工技術が発達したらしく、その地域の出身だった祖父の父が印章の職人だった。祖父母がはんこを作る店前が遊び場で、隣の『魚佐次』で当時は売り物にしていなかったマグロのすき身をよく食べさせてもらった」と振り返る。

 大久保さんは「父が亡くなり、2020年からは母が好きな和文具を増やして経営してきた。私もSNSなどで広報を手伝うようになり、2022年には自分が継いでやっていこうと覚悟した。ただ…」と続け、「ネットが発達し、文具店以外でも文房具が購入できるようになり、専門性よりも利便性が選ばれる時代になった。それでも利便性ではカバーしきれない商品の受注やガラスペンなど他店にない特徴ある商品をそろえてきたが、利便性に打ち勝つことができなかった」と惜しむ。

 神澤さんは「品ぞろえを変えていくことで、文章堂なら何でもあると思ってくださっているお客さまの期待に沿えないことがあり、『文章堂』という名前を閉じることに。これからも継いでくれる娘を手伝えたら」と話す。

 今後について、大久保さんは「はんこ屋で始めたので、はんこは続けながら、趣味を楽しんだり、自分の手帳をカスタマイズしたり、小学生がプレゼントに使えるような商品などをそろえていく予定。新しい店名で、年末までには一新して始めるつもり」と思案中。

 5月12日から閉店セールを行う(一部除外品あり)。

 営業時間は10時~18時。日曜・祝日・水曜定休。

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