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葉山の1950年代を撮った「葉山の青春」 写真展と佐久間浩さん講演

父・沖之助さんの撮った写真を中心にまとめた「葉山の青春」を手にする佐久間浩さん

父・沖之助さんの撮った写真を中心にまとめた「葉山の青春」を手にする佐久間浩さん

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 葉山・森戸海岸かいわいの1950年代の写真をまとめた写真集「葉山の青春」が3月15日、用美社(葉山町堀内)から発売された。

展示中の数枚。(左から)佐久間沖之助さん、浩さん姉弟と友人、山口博さん

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 撮影したのは佐久間沖之助さん。1907(明治40)年に千葉で生まれ、9歳で東京の漆塗り店にでっち奉公に入り、13歳から8 年間は大工修業。20歳で葉山町堀内に移住し、大工として森戸神社の修復工事や永楽屋など多数の普請に携わる。出兵で7回の死線を乗り越え、1950(昭和25)年、佐久間不動産を創業。翌年から1961(昭和36)年まで森戸海岸に海の家「ラッキーランド」を開設する。

 葉山に戻り、カメラを趣味とした沖之助さんはセルフタイマーで撮った夫婦の写真や子どもたちなどを被写体にした写真など多くを残した。息子の浩さんは70歳を過ぎ、用美社の編集長、岡田満さんに「このままこの写真が世に出ないのはもったいない」と言われ、「戦後間もない時代に、葉山にあふれていたエネルギーを父の写真で感じてもらえるはず」と出版を決めた。

 特にこの写真集では、1951(昭和26)年、1952(昭和27)年の2年間、森戸海岸で1週間開催されたイベントの写真が中心となっている。葉山町、警察、漁業組合、ラジオ局、新聞社、芸能人など官民一体となっての大カーニバル。沖之助さんは実行委員会の委員としてゲストに釣りを楽しんでもらうなどの接待もしながら撮影していた。

 「1週間も開催していたら大変だったのだろう。イベントは2年間しか開催していないが、父は人に喜んでもらえることが好きだったから楽しかったと思う」と言う浩さんは、覚えている様子をイラストに描き起こし、一緒に載せている。

 沖之助さんの写真のほか、戦後すぐ逗子市桜山8丁目にあった田越荘にGHQ(占領軍)専用のクラブを作り、BAR&ダンスホールを経営し、プロボートレーサーとしても活躍したという山口博さんの娘や、1910(明治43)年創業の菊水亭からも同時代の写真を提供してもらい、掲載している。

 「写真は全て菊水亭4代目の娘、雛(ひな)さんがAIを使ってカラー化してくれた。白黒で見るより身近に感じられると思う。45年間、不動産業をしながら町を見てきたが、父親たちが暮らした時代の葉山を遺(のこ)していく文化事業もやっていければ」と浩さんは話す。

 価格は3,300円。葉山・文教堂書店(一色)、逗子・佐久間不動産(逗子2)、鎌倉・島森書店(小町1)で扱う。

 葉山まちづくり協会が主催する講演「佐久間浩さんのおはなし会」は3月23日13時30分~、葉山町立図書館2階ホールで開催。参加無料、申込制。写真展は3月末まで「葉山UNDER THE PALMO」(堀内)。

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