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逗子在住の詩人・高橋睦郎さん市民栄誉賞贈呈式 母への思い語る

市民栄誉賞贈呈式

市民栄誉賞贈呈式

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 逗子在住の詩人、高橋睦郎さんの文化勲章受章記念講演会と市民栄誉賞贈呈式が2月2日、逗子文化プラザなぎさホール(逗子市逗子4)で行われた。

詩を朗読する高橋さん

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 逗子市として市民栄誉賞は、2010(平成22)年のサッカー監督、岡田武史さん以来2人目。

 1部で高橋さんが母のことを詠んだ3つの詩「母」「奇妙な日」「泳ぐ母」を朗読後、2部の講演冒頭では、「市民の方から声をかけられることが多くなり、案内用に載せたもらった7年前の写真がまだ通用するなと思った」と優しい笑顔で話し始めた。

 幼少期は、父、姉が亡くなり、母が無理心中をするほどの悲しみや貧しさの中で、母のために自分がいない方がいいのではと考え「武者修行」という名の家出をしたこと、詩や短歌、俳句などを作るようになるきっかけ、そして逗子に移住するまでのことを分かりやすい言葉で、ユーモアを交えながら語った。「貧しかったせいか、『かわいがってねオーラ』が出ているようで、出会いが無限に増えていく。その出会いの原点は母」とも。

 講演後、来場者から寄せられた質問に答えた。文化勲章授与は1週間前の電話で知らされたこと、6年間交流があった三島由紀夫が自決した時は会社から市ヶ谷に行き、篠山紀信と飲み、矢頭保と飲み、帰宅したこと、広告プロダクションでの仕事は物を売ろうと思ったことがないので、まったく創作には役に立っていないこと、15年間の大スランプを抜け出た後、時間がかかることがつらくなくなったこと、など話した。「100歳までは創作を続けたい。目標は向こうから来るので、いつでも受け入れられるよう健康な器でいたい。逗子にゆかりの尾崎迷堂の句を編さんできれば」と意欲を見せる。

 3部では市民栄誉賞贈呈式が行われ、桐ケ谷覚市長から表彰状と記念品が授与された。高橋さんは「この賞は夢や希望を与えた人に差し上げるということだが、時には悪夢や絶望を与えることも文芸や詩歌の重要な役割。私が不名誉な行動をして目撃されてもどうかお心広く見て見ぬふりをしていただきたい」と呼びかけ、会場から大きな拍手がわいた。

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