
葉山町立上山口小学校(葉山町上山口)の4年~6年の児童約60人が6月17日、慶応義塾大学理工学部の宮本憲二教授の「微生物」をテーマにした特別授業を受けた。
(左から)慶応義塾大学理工学部の宮本憲二教授と葉山町教育委員会の稲垣一郎教育長。締結式で
同学部は6月10日、葉山町が進めている「はやまエシカルアクション」の一環として「環境教育のまち、葉山」を推進するため、同町教育委員会と包括連携協定を締結したばかり。きっかけは同町在住で「キエーロ」(土の中にいる微生物の力で生ごみを分解する生ごみ処理機)を考案した松本信夫さんとの縁だという。
同町立小・中学校では2023年から、給食でカネカ生分解性バイオポリマーのストローを使っている。「町民の環境保全に対する関心は高い」と言う稲垣一郎教育長は締結式で「微生物が生ごみを消してしまうことは児童にとっては魔法のようなこと。面白いと思ってもらえたら探求の学びの入り口になる」と期待を寄せた。
宮本教授は同大研究グループで2月、鎌倉の土壌から添加物を含まないポリプロピレン(PP)の分解菌を発見したと発表。17日の特別授業では、その発見の話をはじめ、微生物についてイラストや写真など使い、「PPも微生物が分解すれば、ストローを燃やす必要もなくCO2の発生を減らせる」など説明した。
説明後の質問時間には、「発見した微生物はどうやって見つけたのか」「微生物は何年くらい生きるのか」「ストローを分解するためにどのくらいの量が必要か」などと次々に手が挙がった。
最後に宮本教授が「秋には、発見した微生物を使ってストローが実際に5日~1週間で分解されていく様子を観察してもらう」と話すと、6年の担任が児童の声を代表して、「6年生は4年生の時にカネカのバイオマスストローを微生物が処理する様子を観察した。半年かけてやっと劣化した程度だった。1週間で分解できるなんて本当か?」と質問すると、同教授は「秋の授業で確認してもらえたら」と自信をのぞかせた。
同町では来年度以降、特別授業の取り組みを町内全小学校でも行っていく予定。