セミナー「横須賀の石炭火力発電所建設を考える~逗子の海に空に、PM2.5が降ってくる?!」が9月16日、逗子文化プラザ市民交流センターの会議室で行われる。
横須賀火力発電所建設問題を考える会 逗子支部の飯沼佐代子さん
企画の発端は市民団体「横須賀火力発電所建設問題を考える会」(横須賀市)。横須賀火力発電所に新しく石炭火力発電所が建設される問題について2016年から市民を対象とした勉強会を開いたり、環境省や神奈川県知事への申し入れを行ったり、情報を発信してきた人たちが中心になって、2017年4月8日に発足した。
逗子のセミナーを企画した飯沼佐代子さんと山下海州さんは同団体が開いた勉強会で出会い、「横須賀だけの問題ではなく、自分たちが住んでいる逗子の人たちにも知ってほしい」という共通の思いで、逗子支部を立ち上げた。
「もともと動物が好きで、中学生の頃には野生動物の生息環境を守るにはどうしたらいいだろうなどと考えていた」という飯沼さん。高校生の時、1992年、伯のリオ・デ・ジャネイロで国連環境開発会議(地球サミット)が開かれた。「公害・汚染・森林破壊などに対して世界的に取り組もうという時代の中にいた」という飯沼さんは、大学では森林の環境問題を専門に勉強し、現在は都内で関連する仕事に就いている。「特に環境問題について情報を得ていると思っていたのに、今年6月まで横須賀のこの状況を知らなかった。建設が進めば横須賀周辺だけの問題ではない。温暖化を強く進めるような計画があることをまず知ってほしい」と呼び掛ける。
高校2年生の山下さんは、社会科の勉強が始まった小学3年生の頃からごみ問題が気になっていたという。東日本大震災による原発事故から環境問題や発電所の仕組みなどに関心を持ち、昨年から国際環境NGOグリンピースのメールマガジンなどで情報を収集している。「この春に生徒会の活動を終えた後、自分が一番興味のあることに関わりたいと、8月に『かながわハイスクール議会』に参加した。環境農政常任委員会に所属して同じようなことに関心を持っている高校生と学ぶ機会があって、横須賀の発電所の勉強会にも参加した」と話す。「どうして今、石炭なんだと思った。社会の問題として同世代に聞いてほしい」とファシリテーターの役目を引き受けた。
当日は、「気候ネットワーク東京事務所」(東京都千代田区)の桃井貴子さんが、今なぜ石炭火力発電所なのかという疑問に、温暖化とパリ協定の視点から解説。「横須賀火力発電所建設問題を考える会」の代表、鈴木陸郎さんが石炭火力発電所建設の動向と地域への影響を説明する。その後、ワークショップ形式で「今、私たちにできること」を考える。
2基(計130万キロワット)の石炭火力発電所を建て替える計画は、2023年の運転開始を目指し、環境影響評価(環境アセスメント)法に基づき、現在、事業者(JERA)が提出した準備書に対して経済産業省大臣の勧告を待つ段階となっている。
セミナーの開催時間は14時~16時。参加無料。