葉山町出身のデフ(聴覚障害者)バレーボール日本代表、中田美緒さんが7月9日、同町役場(葉山町堀内)を訪れ、山梨崇仁町長に世界選手権優勝とベストセッター賞受賞を報告した。
優勝した日本代表女子チーム。デフバレーボール世界選手権会場で(提供=中田美緒さん)
6月21日~30日に沖縄県豊見城市で開催された「デフバレーボール世界選手権」には男子8カ国、女子5カ国が参加した。日本女子はリーグ戦でウクライナに負けたがアメリカ、イタリア、トルコに勝ち、準決勝でトルコに、決勝でアメリカに勝ち優勝した。
生まれつき聴覚に障害がある中田さんは県立平塚ろう学校中等部1年の時にバレーボールを始め、高等部1年で日本代表として世界選手権に出場。チームは4位だったが、ベストサーバー賞を受賞している。2017(平成29)年、最高峰の国際大会として4年に一度行われるデフリンピックでは金メダルを獲得。その後、バレーボールの強豪・東海大学に進学し、2021年のデフリンピックで連覇を目指したが、新型コロナ感染拡大を防ぐため途中で出場辞退となった。
昨年、大学卒業後、清水建設に入社し、仕事をしながら月に一度の代表合宿を中心に練習を続けてきた。中田さんは「仕事との両立はハードだが、監督からも『中田がけがをしたら日本は優勝できない』と言われていたので、けがに注意して練習してきた」と話す。優勝した理由については、「日本チームは粘り強さで相手にストレスをかけた。一人一人の力だけでは勝てず、ベンチの監督、選手の思いも込めて戦った。早い攻撃も良かった」と振り返る。
日本代表在籍も長くなり、ホテルの過ごし方など試合以外でも年下の選手に声がけをしたり、国際手話を習得しているため、海外選手への通訳も行ったりしたという。
来年11月、デフリンピックが初めて日本(東京)で開催される。山梨町長が「葉山町の代表として頑張ってほしい。応援している」とエールを送ると、同席した職員からは「役場に応援の懸垂幕はどうか」「パブリックビューイングもできれば」などと提案する声も上がった。