食べる

葉山で「カスサミット」 酒かすが「かす」扱いされないようアピール

(左から)料理僧、青江覚峰さん、甘酒開発担当の渡部耕平さん、チーズ開発担当の白庄司宣明さん

(左から)料理僧、青江覚峰さん、甘酒開発担当の渡部耕平さん、チーズ開発担当の白庄司宣明さん

  • 15

  •  

 「かす」をテーマにした「カスサミット2024ウインター」が3月17日、葉山の複合施設「SEE THE SUN葉山」(葉山町堀内)で行われ、かすに関心のある大学生や町民、料理研究家など約30人が集まった。

酒かす6種類

[広告]

 主催は酒かすと米こうじを原料に甘酒を製造販売している森永製菓(東京都港区)と会場を提供した同施設で、「かす」の言葉の語源にもなっている酒かすを中心に展開された。

 同社で甘酒の開発を担当している渡部耕平さんが初めに登壇し、「日本酒の副産物である『かす』をかす扱いされないようこのサミットで認識してほしい」と口火を切り、森永乳業でチーズの開発に携わる同社の白庄司宣明さんが「牛乳をぎゅっと濃縮してチーズを作る際に出るかすがホエイ。ミネラルなど栄養素が含まれているが余剰になり捨てられてしまうことも多かった。酒かすのように一般で市販されていないので知られる機会が少ないが、発酵させて価値の高いものにするなど研究は進んでいる」と開発の現状を紹介。

 つまみブレークタイムでは、湯島山緑泉寺(東京都台東区)の住職で、料理僧として料理、食育に取り組んでいる青江覚峰さんが葉山の農家「Bassed Farm」で収穫した野菜で精進料理を作り、参加者が味わった。一般では生ごみとして廃棄してしまうような野菜のかす、皮も茎もへたも使い、「家で料理するときも、かすをごみ入れに捨てず、一度、バットに並べてみるとかすの見方が変わる。精進料理にはかすという概念がないが、それは仕事でもほかの分野でも同じでは」と青江さんが語りかけた。

 その後、酒かすに魅了されて「さけかすこ」の名前で活動する管理栄養士が持参した酒かすを試食。3段階の濃度に分かれた板状のかす、練ったかす、玄米と発酵させたかす、長期熟成させたかすの6種類。試食した20代の女性2人組は「味の濃い板状のかすが一番おいしかった。熟成するとチョコレートみたい」「料理に使ったらコクが出て、おいしく使えそう」などと感想を述べると、さけかすこさんが「板状の酒かすは焼くとチーズみたいになる」などと説明した。

 閉会前、参加者からは「同じ発酵食品のキムチを漬けているので、今度、酒かすも使ってみようと思った」「酒かすは和食に使うイメージだったが、洋食にも隠し味として良さそう」などの感想が聞かれ、渡部さんは「知れば知るほど、かすではないことが分かる。これからもカスサミットを続けてみたい」と力を込める。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース