「泉鏡花 生誕150年企画展」が11月3日、逗子アートギャラリー(逗子市桜山5)で始まった。
西村陽一郎さん。この企画展のために撮影したフォトグラムの前で
1873(明治6)年11月4日、石川県金沢市に生まれた泉鏡花は今年生誕150年を迎える。
鏡花は逗子の田越村桜山に1902(明治35)年8月から1カ月、1905(明治38)年7月から1909(明治42)年2月までの3年半を田越村大字逗子(現・逗子市逗子5)で暮らしている。鏡花自筆の年表には静養のためと書かれているが、同時期に長編「婦系図」を、逗子を舞台に「草迷宮」「春昼」などを執筆している。
企画展の主催者、同ギャラリーの徳富直子さんは「2月の雛人形展開催中になんとなく手にした鏡花の『雛がたり』がきっかけだった。たまたまウサギを製作中の彫刻作家・浦部裕光さんに会い、たまたま鏡花好きの人形作家の松田珠江さんが訪れ、さらに次々に偶然が重なった。この企画は鏡花さんが持ち込んだように思える」と話し、「調べてみると徳富蘇峰が創刊した『国民新聞』に鏡花が『風流線』を連載していたことも分かった」とも。
4日にはダンサー・木部与巴仁さん、作曲家・酒井健吉さんが写真家・西村陽一郎さんのフォトグラム作品の前でダンス「鏡花舞」を披露。写真家・鴫原薫さんは約半年かけて逗子を始め鏡花に関わる土地をカメラを持って訪れた。「三島由紀夫が好きなので三島に影響を与えた鏡花文学をいつかは読もうと思っていたのでいい機会だった」と鴫原さん。他、布作家・羽生真里さん、写真家・平賀淳さんらが出品している。
徳富さんは「初日から鏡花の熱心なファンが遠方から来てくれている。企画展とともに岩殿寺など逗子に残るゆかりの地を散策してみると作家に影響を与えた逗子の魅力を知ってもらえるのでは」と話す。
企画展は12日まで。火曜休廊。11時~17時。