海のSDGsをZ世代と漁師、学識者とが考えるイベント「G-Ocean(ジェネレーション・オーシャン)」が4月9日、リビエラ逗子マリーナ(逗子市小坪5)で開催された。主催はUMITO Partners(東京都渋谷区)とセイラーズフォーザシー(以下、SFS)日本支局(横浜市西区)。「Generation-Ocean」は、海の未来を考え、海洋資源を次の世代につなげる世代という主催者による造語。
(左から)SFS日本支局理事長の井植美奈子さん。鈴木寛さんと角南篤さんのスペシャルセッション
SFS日本支局理事長の井植美奈子さんは約100人の参加者を前に「水産資源の減少は温暖化などの環境問題だけでなく、乱獲など資源管理の問題で悪化している。いろいろな世代、分野の皆さんと将来に向けて今日は考える時間にしていきたい」とあいさつした。
1部は魚問屋「臼福本店」(宮城県気仙沼市)代表の臼井壯太朗さん、農学博士・田中元さん、「吹上浜の未来を考える漁業者たち」(鹿児島県日置市)代表の漁師、佐々祐一さん、タレント・トラウデン直美さんによるパネルディスカッション、元文部科学副大臣で東京大学教授の鈴木寛さんと政策研究大学院大学の学長特別補佐、角南篤さんのスペシャルセッションが行われた。
Z世代代表として参加したトラウデンさんは「魚を買う時は新鮮さでしか選ばず、野菜ほど産地や流通などは意識してこなかったが、漁業の実態を知ることが大事だと分かった。資源としての魚が減っている理由をもっと消費者に伝えることが必要」と話した。
参加者によるテーブルディスカッションではZ世代に海の持続可能性に関心を持ってもらうためにできることは何かが話し合われ、啓発マークでの普及、学校の食堂などで漁師からのメッセージを発信などのほか、「映えるような特別な発信ではなく、あえて地味で、身近に感じてもらえるような発信で、誰でもがこの問題を発信していければ」という意見も上がった。
参加した都内の大学に通うZ世代は「鎌倉に住んでいるので海が身近にあり、海の問題は自然と関心を持てる環境にあるが、大学の友人たちはそうではない。どうしたら海のことに関心を持ってもらえるか、今日は学ぶことが多かった」と振り返る。
続く2部では、適正な水産物の流通の重要性を五感で学んでほしいとサステナブルシーフードランチを用意。臼福本店のタイセイヨウクロマグロを使った「マグロのちらしずし」や岡山県邑久町の邑久カキを使ったグラタンなどを提供した。
最後にUMITO Partners社長の村上春二さんが「それぞれのディスカッションで熱意が感じられた。まさにコミュニティー・ソリューション。まず自分たちのコミュニティーを広げて、そのつながりを継続してもらえれば」と参加者に呼びかけた。