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逗子で映画「発酵する民」上映 出演者らによる盆踊りの披露も

(左から)葉山在住の出演者、川崎直美さんと監督、平野隆章さん。川崎さん経営の自然生活雑貨店「レパスマニス」で

(左から)葉山在住の出演者、川崎直美さんと監督、平野隆章さん。川崎さん経営の自然生活雑貨店「レパスマニス」で

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 ドキュメンタリー映画「発酵する民」(配給=福々映像)が逗子のシネマカフェ「シネマ・アミーゴ」で3月7日から上映が始まった。

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 2011(平成23)年の東京電力福島第1原発事故後、鎌倉市内で「脱原発パレード」に参加した人たちが、「盆踊り部」を作り、活動を続けていく7年間を取材した同映画は、平野隆章さんの初監督作品。個人で製作・配給したにもかかわらず、東京・渋谷の映画館「ユーロスペース」をはじめ全国で劇場公開され、公開は、大阪・宮城・広島などでも予定されている。

 鎌倉に住む平野さんは「パレードは取材という仕事で関わったが、その後、盆踊り部を作ったという連絡をもらって、公民館に行った。脱原発と盆踊りがすぐには結び付かなったが、参加者一人一人が個性的で面白そうだった」と振り返る。

 出演者の一人で、2011(平成23)年に逗子から葉山に越し、自然生活雑貨店「レパスマニス」を開店した川崎直美さんは市民団体「トランジション葉山」での活動を通して石油依存型の社会からの脱却により自分たちの手でより暮らしやすい持続可能な町づくりを目指そうと地域活動などを行っていた。

 川崎さんは「脱原発という思いは前からあって、盆踊り部に触発された。生バンドで踊りたいと思った。入部は、原発反対、裏方の仕事もする、定期練習には必ず参加する、という3つの約束を守れば誰でも歓迎された。何よりも現場の空気感がよくて活動を続けている」と話す。経営する雑貨店で川崎さんも、環境に負担の少ない素材で作られた商品を提供しているが、盆踊り部の部員はそれぞれにみそやパン、酒蔵など発酵食品と共に暮らす生活をしていたという。

 平野さんは「盆踊りの活動だけでなく、皆さんの暮らしを撮影していく中で、初めは興味のなかった発酵ということに私自身も意識が向くようになった。人や地域の文化がゆっくりと変化していく様子が発酵という現象に重なるように思えてきた」と話す。「マスコミが国会前の脱原発デモに参加する人数が減ったことで風化していると伝えることに、違うぞと言いたかった。全国のそれぞれの地域で、脱原発を願う人たちはこうして活動を続けているよとしっかり撮って発表したいと強く思うようになった」とも。

 昨年から映画館で上映できている理由について、平野さんは「コロナ禍の今、原発事故後の先が見通せない状況と似ているからではないか。見終わった人が、盆踊り部の活動や暮らしぶりを見て、私たちの思いも間違っていなかった。こういう方法で地域活動していけばいいんだと背中を押されているようだ」と喜ぶ。

 3月13日には出演者による「発酵する民フェスタ」がシネマカフェ「シネマ・アミーゴ」中庭で開催される。開催時間は11時30分~20時。盆踊りの披露は16時30分から。映画の上映は26日まで。

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