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葉山で「収穫されない夏ミカン」のケーキ 両陛下ご成婚にちなんだ樹への思い実る

(左から)夏ミカン収穫の縁を結んだ高田明子さんとケーキを作った関のりこさん

(左から)夏ミカン収穫の縁を結んだ高田明子さんとケーキを作った関のりこさん

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 葉山でお菓子工房「ソカロカフェSweets!」を運営している代表、関のりこさんが、収穫時期を過ぎた夏ミカンをアップサイクルして作るケーキの提供期間が、残りわずかとなっている。

葉山の夏みかんと紅茶のケーキ

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 同町では、1959(昭和34)年に天皇皇后両陛下のご成婚を記念し、町民に配布した夏ミカンの苗木を、現在も大切にしている家が多い。

 2003年には町や町商工会などが町内の里山で実をつけている夏ミカンに着目し、「葉山夏みかんワイン実行委員会」が発足、同年の天皇誕生日(12月23日)には日本で初めて夏ミカン100%のワインを開発、発売し、翌年に「葉山ロイヤルワイン」という名称を商標登録した。2008年には同ワインを使ったサイダーも発売した。

 記念樹として育った夏ミカンの木は、実を採って、自家製マーマレードジャムやお菓子作りに使ってきた家もあるが、手入れをしたり、加工したりする人も高齢化し、収穫されないまま朽ちる実や、タイワンリスの餌になってしまうケースもある。

 夏ミカンを加工する場合は、実の青いうちに採るが、家庭で食す場合は5月ごろ、黄色く完熟してきてから採るという。関さんは、町中で黄色いまま残っている夏ミカンが気になっていたという。

 指圧の仕事をしているときに食事の大切さを痛感した関さんは、出産を経て、子どもには体にいいと思える物を食べさせたいと、特にグルテンフリーの菓子作りを追求し始めた。昨年、シェアキッチンを目指す「葉山キッチン」(葉山町長柄)の仲間と出会い、視野が広がり、ケーキの商品開発を手掛けるようになった。

 同キッチンのメンバーで、NPO法人葉山環境文化デザイン集団の代表、高田明子さんは地域資源を生かして、地域で仕事をつくり、経済を回していくことをテーマに活動している。代替わりして手つかずになっている夏ミカンの木にも注目していた。関さんと出会い、その手つかずの夏ミカンの所有者から譲ってもらえるよう交渉し、関さんのケーキの商品化がかなった。

 関さんは「乳製品や卵を使わず、米粉を使うために、最初は硬くて締まったものになっていたが、ふわっとしっとりしたケーキに仕上がった。アールグレイの茶葉やアーモンドなども配合して香りもいいと思う。ケーキを作ることで、地域とのつながりも広がっている」と話す。

 「葉山キッチン」または「麻心(鎌倉市長谷)」で提供している。夏ミカンに限りがあるために、提供できる期間は7月初旬まで。売り切れ次第終了。

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