逗子の「聖和学院」(逗子市久木2)の生徒らが取り組む「地域の防災・減災プロジェクト」が2月21日、共に活動してきた逗子ハイランド自治会防災部と報告会を開催した。
オンラインで開催された「地域の防災・減災プロジェクト報告会」
同校は1942(昭和17)年創立の中高一貫校。2020年、同市内の崖が崩れ、現場近くの高校生が死亡した事故などをきっかけに防災に関心を持った生徒が集まり、有識者に話を聞いたり情報を集めたりして地域住民を招き、発表会を行った。
会に参加したことで、同学院と共に防災に取り組みたいと考えたハイランド自治会防災部長・橋本和信さんは「若いエネルギーを感じて一緒に活動できないかと持ち掛けた。ハイランドには最近、若い世代が越してくることが多く、そういう世代にも伝わるような防災ハンドブックやマニュアルを作りたいと思っていた」と話す。
5月18日に開いた協働活動のキックオフ会議をスタートに毎月1回、両者は会議を重ね、8月には一緒に歩いて同地区を見て回った。校外活動の意義を生徒らは「坂が多いことは知っていたが、実際に歩くと高齢者や乳幼児連れが避難するにはきつい坂だとわかった」「避難所も訪れてみてその広さを体感できた」などと振り返る。
生徒らは活動の中で、小学生以下の子どもたちにも理解してもらえるようキャラクター制作を自治会に提案。モグラの「もぐのすけ」とリスの「りさちゃん」をデザインし、作成した防災ハンドブックに案内役として登場させた。自治会長の海野和生さんは「最初に会ったときは孫のような世代との協働でどうなるかと思ったが、熱意があり、キャラクターなど若い人ならではの提案もしてもらえ、とても良いプロジェクトになった」と喜ぶ。
報告会を終えて、生徒は「自分が住む地域でも同じような防災マニュアルを作ってみたい」「キャラクターを使って絵本を作ってみたい」「地域の皆さんとのこのようなコミュニケーションが災害時に役立つのでは。貴重な経験ができた」などと話した。プロジェクトを担当する教員の栢本さゆりさんは「地域の人と作った輪に感謝し、その輪を広げていけたら」と期待を寄せる。
橋本防災部長は「世代を超えて、議論を形にするグラフィックレコーディングができ、お互いに学ぶことが多かった。完成したハンドブックは自治会の1300世帯全てに配布して家族で防災について考えるきっかけにしてもらいたい」と力を込めた。
防災ハンドブックは同学院のホームページで見ることができる。