逗子で設立された「love.futbol Japan」が1月17日、「子どもサッカー新学期応援事業」として経済的な理由などでサッカーを諦めているけれどサッカーをやりたいと希望する子どもたちの募集を始めた。
ブラジル・レシフェのグランドの完成式であいさつする加藤さん(提供=love.futbol Japan)
「サッカーが好きな世界中のすべての子どもが安全にサッカーできる場所をつくろう」という思いで 2006(平成18)年に米・ワシントンD.C.で誕生した同団体はこれまでコミュニティー型のサッカー・スポーツグラウンドを世界12カ国に47面作り、グラウンドを拠点に教育、ジェンダー、治安等の地域課題解決に取り組んできた。
支部はブラジル、メキシコにあり、日本では加藤遼也さんが2012(平成24)年設立し、2018(平成30)年逗子で法人化した。加藤さんは「小学校からサッカーを始め、大学まで好きで続けた。いくつかの仕事を経た後、サッカーに関わりたいという気持ちが拭いきれず、団体のインターンとして南アフリカに行き、貧困で、危険性の高い地域でサッカーグランド作りのプログラムをスタートさせた」と話す。しかしそこで失敗したという。「プログラムが中止となり、それまでに何度も裏切られてきただろう子どもたちをまた裏切ってしまった。その時に、サッカーを広めたいという気持ちから、サッカーをやりたい子どもたちのために活動していきたいと思うようになった」と加藤さん。
2018年にはブラジル・レシフェに、2019年にはインド・ムンバイにグランドを作ってきた。フィリピンやカンボジアでも計画していたが、新型コロナウイルス感染拡大により海外での活動ができなくなった。そこで、昨年から日本で「子どもサッカー新学期応援事業」を始めた。経済的な貧困や社会格差によりサッカーを諦めている子どもたちを募集し、奨学金給付、用具(ウエアとシューズ)寄贈、サッカー選手との交流を提供する。昨年は100人以上の応募があり、26都道府県88世帯、98人の子どもたちを支援した。今年も募集開始から8日間で逗子・葉山地域を含む全国から124人の応募があった。
活動の資金の多くは「サッカー愛を、次世代につなぐ」プラットホーム『1% FOOTBALL CLUB』だという。プロサッカー選手が年棒等の1%を寄付するもので、1月5日現在、16人の選手が協力している。「最初にべガルダ仙台の富樫敬真選手がSNSで発信してくれた。面識があったわけでもないのに、自ら声掛けてくれて広がった」と加藤さん。
「日本に貧困で困る子どもがいるの?とよく言われる。でも実際に、子どもがやりたいことをやらせてあげられずに親としていいのだろうかと悩みながら、子どもにお金を回せない家庭がある。それはその町の課題でもあると思う」と加藤さん。「この活動の情報が本当に支援を必要としている人に届いてほしい」と力を込める。
募集は2月16日まで。