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逗子・小坪産キャベツウニの殻やとげを「ぬか床」に 駆除したウニを活用

製造・販売元の「TAC21」社長、田耕邦子さんと「ぬか床」。その「ぬか床」で漬けた野菜

製造・販売元の「TAC21」社長、田耕邦子さんと「ぬか床」。その「ぬか床」で漬けた野菜

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 逗子の製造卸売業「TAC(タック)21」(逗子市小坪3)が8月に売り出し始めた「逗子小坪産ウニ殻カルシウムとアカモク入りぬか床」の販売が本格化している。

カルシウム粉になったウニの殻やトゲ

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 昨年、小坪漁港で陸上養殖を始めた「キャベツウニ」のとげと殻を利用した同商品。養殖事業を担う「こつぼ」のメンバーでもある「TAC21」の社長、田耕邦子さんは養殖の指導・協力を行っている神奈川県水産技術センター(三浦市三崎)企画指導部主任研究員の臼井一茂さんの助言も得て殻の焼成法などを調べた。1200度の釜で焼成すると純白の白い粉になった。「味もマイルドでクセがないカルシウムに仕上がった。さらに成分を調べたらウニ殻は吸収が良く、とても良質なカルシウムであることが分かった」と田耕さん。

 商品化した「ぬか床」は農薬も化学肥料も使わない国産米ぬかを平釜で煎(い)り、岡山県産のハト麦はじめ、玄米表皮や胚芽をブレンド。田耕さんは「昆布のグルタミン酸、煮干やかつお節からイノシン酸、シイタケのグアニル酸と天然素材のうま味成分3種がそろった。そこにキング・オブ・海藻といわれる湘南産アカモク、キャベツで育てた逗子小坪産ウニ殻カルシウムを配合した。野菜と一緒に栄養価の高い成分が手軽に食べられる」と笑顔で話す。

 ぬか漬けを作る場合、袋のファスナーを開けて500㏄の水を加え、よくかき混ぜ、好みの野菜を漬ければ次の日にはぬか漬けが食べられる。容器は不要で毎日かき混ぜる手間もない。「醗酵を促す乳酸菌や酵素生産菌が入っているため」という。「キュウリやニンジンだけでなく、パプリカやサトイモ、オクラなども漬けてみた。意外にもおいしくなったのは玉ネギで、甘くなって食べやすい」と田耕さん。

 ここ数年、海岸の磯場で大繁殖し、磯焼けの原因の一つになっているウニを駆除し、その活用として「キャベツウニ」に取り組み始めた臼井さんは「育てたウニを食べる方は2年目となり、逗子の地場産業としてスタートしているが、殻やとげはそのまま捨てると産業廃棄物になってしまうので、資源を循環させる方法として、このぬか床としての商品化は持続可能な取り組みで価値がある」と力を込める。

 田耕さんは、殻やとげを焼く釜を自社の敷地に作ることも考えている。「ウニの時期ではないときには陶芸でも楽しむことに。年内には次の新しい開発商品も発売予定」とも。

 同商品は「TAC21」の通販、小売店「にんじん屋」(逗子市小坪4)、スーパースズキヤ駅前店(逗子1)で扱う。価格は1250円。

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