逗子在住・葉山在勤の聖火ランナー3人が6月28日・29日、「東京2020オリンピック聖火リレー神奈川県」の点火セレモニーに参加し、聖火をつないだ。
逗子在住の澤崎弘美さんはラグビー日本代表チームで主将を務めた廣瀬俊朗さんと
公道での開催を中止した神奈川県の聖火リレーは、6月28日に辻堂神台公園(藤沢市)で県内スタート地点だった箱根町から初日のゴール地点・藤沢市までの5市2町を走行予定だったランナーが参加して行われた。公園内に設えたステージに市町村ごとに走行順にランナーが上がり、トーチキスをして、2人でポーズを決めるという繰り返しとなった。聖火を次のランナーにつなぐために歩く距離は4~5歩。約2分のパフォーマンスとなった。
平塚市を走行予定だった「葉山ハートセンター」(葉山町)の院長、田中江里さんはトーチキスの後、ひざまずいて高くトーチを掲げた。「私が走ることやオリンピックの開催を楽しみにしていた患者さんたちのためにも希望を与えることができたらと思っていたが、コロナ禍では楽しみにしているということさえ発言しにくくなってしまった。私自身、医療従事者として参加することに悩んだが、このイベントに参加して、多くのスタッフに支えられていることを実感し、このつないだ聖火が本番までつながることを願う。ただ、この思いが医療従事者として正しい答えなのかどうかは分からない」と笑顔と共に苦渋の表情をのぞかせる。
藤沢市を走行予定だった逗子在住の眼科医、澤崎弘美さんは「この1年、いろいろな思いの中で友人たちに支えられてこの日を迎え、胸がいっぱいになった。イベントの形がどうであっても無観客でも1人で走るような気がしない。ランナーだけでなく、みんなでつないできた聖火をこのままつなげられたら」と話す。
鎌倉市を走行予定だった逗子在住の会社員、蓼沼さんは29日、橋本公園(相模原市)で行われた点火セレモニーに参加。「スポーツの走る競技にもじっと構えて待つ時間があるように、走るだけがランナーではなく、このトーチキスという表現がコロナ禍の新しい形だと思えた。家族も同僚も配信動画を同時間に見ることができたようで、沿道ではなかったが一緒に参加してもらえた」と蓼沼さん。「約2年、ワクワクできた時間が長くなったことも感謝したい。参加して、新たな力をいただき、止まっていてはいけないと思えた。これからもこのワクワクを地域の皆さんと共有できるよう貢献していきたい」とも。
無観客の開催だったが、選手の家族や関係者らは4人まで園内に入場可能で、セレモニーの前後に記念撮影もそれぞれ行うことができた。
神奈川県の聖火リレーは6日30日、横浜がゴールとなり、千葉へとつなぐ。