イタリア料理店「ラ・ヴェルデ」(逗子市逗子2)で10月6日、出羽三山精進料理とイタリア料理のコラボメニューを提供するディナーの会が行われた。
2013(平成25)年、「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録され、翌年には山形県鶴岡市が「ユネスコ食文化創造都市」に認定された。出羽三山精進料理は開山1400年以上の歴史を持つ羽黒山伏の修験道文化とともに発展してきた。
同店シェフの座間太一さんは逗子市内にある出羽三山神社御分社の関係者から歴史ある精進料理や山菜などの話を聞く機会があり、同神社羽黒山参籠所料理長の伊藤新吉さんを訪ねたという。伊藤さんは「鶴岡まで座間さんがお越しになり、タケノコや山菜を一緒に採ったり話をしたりしている中で今回の企画になった」と話す。
レストランのテーブルにはナイフとフォーク、箸が準備された。ピザ窯の横では座間さんがパスタのソースを作り、その横では伊藤さんが地元から持ってきたみそを使いみそ汁を温める、和洋交じり合った調理風景が繰り広げられた。
前菜は、カボチャのポタージュソースの真ん中に胡麻豆腐を置き、焼いたチーズと山形のズイキをトッピングした「胡麻豆腐イタリアン」と「胡麻豆腐の黒胡麻ソース 神奈川産野菜添え」。伊藤さんによると、精進料理ではあんかけが一般的だが、黒ゴマとカボチャの一種バターナッツを添えたという。
続いて、イタリアンは、「月山筍のグラタン」、山形のだしを敷き、刺し身を色鮮やかに盛り付けたサラダ、逗子で捕れたシラスと山形の「もって菊」を具材にしたピザ、逗子の特産物アカモクをソースにしたパスタ、メインは山形の野菜ソースを添えたサーロインステーキが出された。
精進料理は、「芋茎(ズイキ)の長ナスソースともって菊の海苔巻き」「虎杖(イタドリ)と三浦産紅葉ダイコンの甘酢」と山菜料理の後、トンビマイタケ、ナメコ、ブナカノカのキノコと山形食材を使ったソースがかかった逗子の特産品「アカモクうどん」。締めには「月山筍」のみそ汁を出した。「いつもはタケノコを3本使うが、出羽三山のうちまだ2つの山しか開山していないので、今日は2本」など参加者たちは伊藤さんからの解説に耳を傾けた。
全12品を食べ終えた参加者は「この店のイタリアンはよく食べているが、山形の素材がうまく味わえて興味深かった」「精進料理を何度か食べているが、こういう食べ方もあるのかと斬新で面白かった」などと話していた。
伊藤さんは「初めての企画で勉強になった。県外でも伝統ある料理とそこに長い物語があることをこれからも紹介していきたい」と振り返った。
座間さんは「伊藤さんの料理は素材の下ごしらえがしっかりしていてイタリアンとも合った。今回はお試しだったが、今日の感想を聞きながらまたコラボしてみたい」と意欲を見せる。