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逗子の急坂で福男女を決める競争 東日本大震災・津波で学んだ教訓伝える

山門から「よーい、逃げろ」でスタート

山門から「よーい、逃げろ」でスタート

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 逗子で今年の福男・福女を決める「第四回 逗子復幸男女決定戦」が2月11日に開かれ、約60人が参加した。

(左から)復幸男1位の南仁成さん、復幸児童高学年1位の原康生さん、復幸児童低学年1位の南晴太郎さん、復幸女1位の橋岡祥子さん

 コースは法性寺(逗子市久木)の山門から本堂正門までの坂(約150メートル、標高約36メートル)。東日本大震災から学んだ教訓「津波が来たらすぐ高台に逃げる」を伝えることを目的に開かれている。

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 主催は東日本大震災以降、岩手県陸前高田市と宮城県女川町の被災地支援を続けているボランティアグループ「逗子災害ボラバスターズ」。メンバーの服部誠さんは「女川で活動している時に行われていた『津波伝承 女川復幸男』を知り、逗子でも開催したいと始めた。グループの中にこの寺の副住職がいたので協力いただき、開催できている」と経緯を説明。「復幸」のイベント名も女川の実行委員会に了承を得て使っている。

 女川では震災から2カ月後、幸せな復興を願って「復幸市」が始まり、2年後、兵庫県西宮神社の福男をヒントに、ランイベント「復幸男」を企画。事務局の今野雅彦さんは「津波がきた地点から高台まで、津波が到達した時間をスタートに行っている。貞観、慶長の大津波伝承のように100年続けていく」と話す。

 逗子では、復幸児童、復幸女、復幸男に分かれて競争。山門から「よーい、逃げろ」の合図でスタートする。福男になった南仁成さんは「息子たちの通う陸上クラブに付いて行って練習した成果だと思うが、苦しかった。クラブの子どもたちにも自分の力で逃げられることが大切と伝えたい」と話し、復興児童低学年の部で1位になった次男・南晴太郎さんと共に喜んだ。福女になった橋岡祥子さんは「海の近くに住んでいるので、防災の意識を高めることができた」と感想を述べた。

 競技の後に行われた「復幸ラン」では、速さは競わず本堂まで走り、一年の福と被災地の復興を願った。乳児を抱いた保護者や幼児の手を引いて上る祖父、大きな犬2匹と一緒に参加した男性も。地元「車いすの会」のメンバーは車いすに人を乗せ、3人で坂を上った。

 70歳以上のメンバーたちで、日頃は施設などで活動。「実際にこういう坂で練習する機会はないので有意義。皆さんが手伝ってくれて助かった」と話した。

 日頃、マリンスポーツを続けている20代の地元の女性は「こんなに足が動かなくなるとは思わなかった。いざという時のために家の裏山を家族で駆け上がる練習が必要かもしれない」と防災の認識を新たにしていた。

 イベントは復興支援ソング「花は咲く」を全員で歌って終了した。

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