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逗子在住「チューリップ」ファン、48歳から12年間の「推し活」を一冊に

推し活「ちゅーりっぷごっこ」を楽しむ岡本雨さん。手には新刊の表紙

推し活「ちゅーりっぷごっこ」を楽しむ岡本雨さん。手には新刊の表紙

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 逗子在住の文筆家でフードトラベラーの岡本雨さんが著した電子書籍「昔夢見た魔法の靴で知らない国へ行ってみたい」(アマヤドリブックス)が7月21日、発売された。

博多のライブ喫茶「照和」で「ちゅーりっぷごっこ」を楽しむ仲間たち(提供=岡本雨さん)

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 今年還暦を迎える岡本さんがバンド「TULIP (チューリップ)」を初めて意識したのは1979(昭和54)年、中学3年生のとき。「動く彼らを見たのは高校受験を控えた1980(昭和55)年の元旦、大みそかからそのままテレビを見ていたら、ライブをやっていた。私はそこで初めて『青春の影』を聴いて、ファンになった」と振り返る。「ただ当時、その曲のタイトルを調べるにはその後、アルバム(レコード)を一枚ずつ買い続け、メモした歌詞と照らし合わせるしかなかった」とも。

 1972(昭和47)年に財津和夫さんをリーダーとしてレコードデビューしたバンド「TULIP」は1989(平成元)年には解散。その後、再結成を経て、2022年~今年にかけ、50周年記念コンサートツアーで全国を回った。

 大学生以降、チューリップから心離れていた岡本さんは、2012(平成24)年、40周年記念ツアーを機に、使い始めたフェイスブックのグループ機能を使い、チューリップ好きの仲間を募り、「ちゅーりっぷごっこ」を楽しむようになった。チューリップのまねをしてファン同士が集まり、ライブハウスなどで演奏し、歌い、戯れていた。もちろん彼らが通っていた博多のライブ喫茶『照和』にも集まった。今で言う『推し活』」と岡本さん。フェイスブックのグループには12年で約750人が参加した。

 岡本さんは雑誌・週刊誌の記者を経て、フリーランスになり、2001(平成13)年、村上春樹作品に描かれたさまざまな料理をレシピ化した単行本「村上レシピ」(飛鳥新社)以来、執筆活動をする一方、調理師免許を取得。そば打ち職人などの経験も積んだ。ノンフィクション作品となる「昔夢見た魔法の靴で知らない国へ行ってみたい」は、自身で設立した出版社「アマヤドリブックス」から12年ぶりに刊行した。

 岡本さんは「コロナ禍で気持ちが落ち込んだこともあったが、彼らの50周年記念コンサートに行き、推し活『ちゅーりっぷごっこ』をして楽しかった気持ちを思い出し、48歳からSNSを活用した友達づくりを書こうと思った」と話し、「タイトルもチューリップの歌詞を使わせてもらったが、内容はチューリップの話ではなく、大人になってからの推し活を通して友達作りにもがいた日常を書いたもの。推しのいる人たちに共感してもらえるのでは」と期待する。

 仕様は101ページ。価格は1,300円。

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