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逗子のALS患者設立団体が救急車を改装 外出の夢を実現へ

「すこやかさゆたかさの未来研究所」の畠中一郎さんと救急車を寄贈した山口修さん。「ゆめばす」の前で

「すこやかさゆたかさの未来研究所」の畠中一郎さんと救急車を寄贈した山口修さん。「ゆめばす」の前で

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 ALS(筋萎縮性側索硬化症)罹患(りかん)などに伴う障害のため移動が制限されている人の移動車「ゆめばす」の運行セレモニーが7月19日、逗子市浄水管理センター(逗子市桜山9)敷地内で行われた。

「ゆめばす」に乗り込む松山博さん

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 ゆめばすは、逗子在住の畠中一郎さんが病気罹患後に立ち上げた一般財団法人「すこやかさ ゆたかさの未来研究所」(東京都千代田区)の趣旨に賛同した葉山在住の山口修さんが寄贈した高規格救急車を改装したもの。

 ゆめばすは地域の福祉団体と連携し、ALS をはじめとする障害がある人や家族が気軽に利用できる移動サービスの手段となる。

 救急車はもともと山口さんの両親が三浦市に寄贈したもので、その後、横須賀の病院でコロナ禍に活躍した。生前、母親が大切にしていた聖書の言葉「困っている人のすぐそばに行く人になりなさい」を同じように大切にしている山口さんは畠中さんと出会い、「救急車のように電源付きの車があれば、患者のさまざまなニーズに応えられるのではと思い、寄贈することにした」と話す。

 ALS患者が乗った電動車いす約300キロを持ち上げるリフトの取り付け、赤色サイレンなど不用機器の取り外しなどにかかる費用はクラウドファンディングで賄った。目標金額を上回る約541万円が集まったという。

 セレモニーでは罹患して16年目、平塚在住の松山博さんが長女やヘルパーらと乗り込んで、敷地内を一周した。桜を見に行くこともぜいたくだと言われたことがあるという松山さんは「急病患者を運んできた救急車が私たちの希望を運んでくれるように生まれ変わってうれしい。はるか昔、妻と出かけた箱根に一緒に行きたい」と喜んだ。介助者にとっては、天井が高く、立って作業できることが特に好評だった。

 畠中さんは「最初に『救急車いる?』と聞いた時は思いもよらない申し出で驚いたが、ユニークなプロジェクトが始まった。逗子にとどまらず、全国に展開できることを願っている」と力を込める。

 ゆめばすの利用希望者は事前に旅のプランを提示。その目的と旅程に問題がなければ利用できる。その後の利用者のための参考情報として利用後にレポートを提出する。利用は原則、無料。申し込みは同法人のホームページで受け付ける。

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