神武寺(逗子市沼間2)が所有する木造十一面観音菩薩坐像(ざぞう)が10月23日付けで、逗子市重要文化財に指定された。
台座に座り厨子に納められている木造十一面観音菩薩坐像(提供=逗子市)
同坐像は、明治初年の神仏分離の折、荏柄(えがら)天神社(鎌倉市二階堂)から遷(うつ)されたと伝えられるもので、同市教育部社会教育課によると、「バランスの取れた姿形、張りのある秀麗な面立ち、切れの良い衣の削り出しなど、その作風は運慶の流れをくむ慶(けい)派仏師の伝統を備えた正統的な秀作と判断され、文化財的価値が極めて高いと評価された」と説明する。
神武寺は鷹取山(横須賀市)から続く山中にある古刹(こさつ)で、創建は奈良時代、聖武天皇の霊夢により、行基が開山したと伝える。鎌倉時代には、霊場として源頼朝や幕府の厚い崇敬を受けた。今年開創1300年の記念の年でもあり、文化財の現状や所有者の意向など、もろもろの状況などを鑑みての新規指定となった。
同市では、市内の文化財のうち、学術的に価値が高いものを重要文化財に指定し、保護を図ってきた。建造物3件、絵画1件、彫刻8件、工芸2件、史跡5件、天然記念物2件、考古資料1件の22件で、今回の彫刻で23件となる。
11 月 18 日~24 日に同寺で行われる開創 1300 年記念大開帳の際に拝観できる。拝観時間は9時~16時。