葉山町立小・中学校で「全国学校給食週間」である1月24日~30日の献立に、「葉山夏みかんプロジェクト」が提供する夏ミカンが初めて食材として使われる。
葉山町在住の有志による同プロジェクトは1959(昭和34)年、上皇上皇后両陛下のご成婚を記念し、町民に配布した夏ミカンの苗木が各家庭の庭で育ちながら収穫できずにいる実の収穫を手伝いながら後世に残していきたいと2022年、活動を始めた。その一環として学校給食で使ってもらい、子どもたちに五感で味わってもらえたらと献立の提案や活動を紹介する授業などを行ってきた。
葉山夏ミカンが使われる献立は、24日の「なます風サラダ」と29日の「フィッシュナゲット」。三浦大根とニンジンで作る「なます風サラダ」の酢の代わりに、魚・コノシロで作る「フィッシュナゲット」のレモン汁の代わりに夏ミカン果汁を、それぞれ使う。「なます風サラダ」にはツナやトウモロコシとともに刻んだ皮も使い、果汁の甘みと皮の苦みを味わえるサラダに仕上げる。
12月から町中で集めてきた夏ミカンは約200個で、22日・23日に各校の給食室に届けた。むいた後の皮は一色小学校では3年生が、葉山小学校では5年生有志が、葉山中学校では生徒会役員が、内果皮などを取り除き、小さく切って干すまでの作業を行う。
乾燥させ粉末にしたものは森戸神社の「お清めの塩」に混ぜアップサイクルする。同プロジェクトの高木奈美さんは「暖冬の影響で成長が早く、1月にちょうど集まるか心配だったが、ジューシーな夏ミカンが集まった。厚みのある皮の処分も課題の一つだったが、神社の協力で生かされることになった」と話す。
全国学校給食週間には地場の野菜類や県内産の食材を積極的に使用した給食を予定しているという同町教育委員会学校教育課担当者は「町では、『はやまエシカルアクション(自然環境・人や社会・地域を思いやった行動)』を産官民連携で推進している。学校給食でも昨年4月、エシカル給食の提供を始めた。教育委員会も葉山夏みかんプロジェクトの活動に賛同し、フードロスや地産地消の観点からもエシカル給食の食材として、葉山夏ミカンを使うことになった。給食をきっかけに子どもたちが葉山夏ミカンのことを知り、活動の応援になれば、地域や人を思いやるエシカル給食を実践していく取り組みの一つになるのでは」と期待を込める。
同プロジェクトは3月3日、同町役場駐車場で「夏ミカン収穫祭」も開催予定。夏ミカンを使ったドリンクやフードを販売する予定。