映画「ガザ 素顔の日常」(配給=ユナイテッドピープル)の上映会が11月12日、逗子の久木会館(逗子市久木2)で行われた。
同作は、サーフィンを楽しむ若者、漁船の船長を目指す子どもなど、紛争下を生きるガザの人々の普通の日常を描いた2019年製作のドキュメント映画。20代のころに船旅を通じて平和な社会の実現を目指す国際交流NGO「ピースボート」のスタッフとしてパレスチナ・イスラエルを訪れ、双方に友人がいる逗子市民4人が主催した。
主催の一人で、学生ボランティアから関わり、職員として約15年ピースボートで働いた小野寺愛さんは「戦争のニュースを見ていた中学2年の娘に、なぜ戦争するのかと聞かれたことがきっかけで、同じ中高校生にその答えと私たちに何ができるかを伝えたい思い、仲間に声をかけた」と話す。会場では2回の上映の間に、戦争が起きている場所や歴史などの説明、難民との交流、ガザで体験したことなどを紹介した。
ガザ州北部のジャバリア難民キャンプで育った友人ザヘルさんからの手紙を披露した後、小野寺さんは「140万人以上が家を失って避難生活を余儀なくされ、死者も1万人以上。その半数は子どもと女性という状況にあるガザにいるのは、逗子に暮らす私たちと変わらない、ごく普通の人たちだということを、この映画でまず見てほしかった」と話す。
ガザで民泊したこともある門脇哲太郎さんは「楽しい大家族が精いっぱいもてなしてくれた。この争いは2国だけの問題ではなく、国際社会が作り出した占領と差別の歴史から起きてしまっている」と、中学生が理解できる言葉とスライドを使い説明した。
現在もピースボート災害支援センターで働く小林深吾さんは何が起きているかなどの現状を紹介し、「イスラエルを応援していたアメリカも今、変わりつつあるが、若い人が声を上げることで世論が動くことがある。まず何がどうして起きているかを知ってほしい」と呼びかけた。
上映会に参加した男子高校生は「学校の授業でも歴史の一部は習うが、詳しいことは習わない。今日の話はこれから毎日でも友達に話していきたい」と言い、大学1年の女性は「私の毎日とはかけ離れていて、何かできることはないかなと思うが分からない」と表情を曇らせた。
小野寺さんは「自主上映会を開き、なぜ戦争を止められないかなど、若い人たちと対話していこうという大人たちが他の地域でもいれば」と期待を込める。