企画展「相模湾のホンダワラ類-莫告藻(なのりそ)の自然誌」が現在、葉山しおさい博物館(葉山町一色)で開かれている。
同展示に標本を提供した逗子在住の高橋昭善さんによると、ヒジキやアカモクなども含むホンダワラ類の形態は根、枝、葉、気胞、生殖器床などから成り、海藻では最も複雑な種類という。
同館の学芸員でホンダワラ類の研究をしていた倉持卓司さんは「相模湾で記録されているホンダワラ科は29種類と全国でも一番多い。そのうちの24種類もの標本を一堂に展示することは珍しい。高橋さんとは以前、一緒に研究していたこともあったが、ホンダワラにこだわり、ずっと続けて収集し、研究しているところが素晴らしい。研究者も少ない分野で、標本の実物展示は貴重な機会。たくさんの人に見てもらいたい」と呼びかける。
高橋さんは教員を定年退職後、大学院へ進み、70歳で博士号を取得。横須賀の博物館が開催する海藻観察会の講師などを80歳を過ぎた現在も務める。
会場に展示した海藻を指さしながら話が止まらない高橋さんは「アズマネジモクは真鶴のとある場所でしか見つけたことがない。その場所を後継者に伝えておきたい」「沖縄にしか生存しないはずのラッパモクを鎌倉と平塚の海岸で採集できたことは黒潮の流れのせいだと考えている」「ウミトラノオは戦時中、煎じて腹の薬にした。抗菌作用がある」などとエピソードを披露。「逗子も葉山もそうだが、海岸の近くに住む人たちにもっと海藻について知ってほしい。難しい生態の説明にとどまらず、小学生でも分かるような説明をしたい」と話す。
11月27日まで。
高橋さんは10月9日、しおさい公園内の潮見亭でサイエンストークを開く。開催時間は13時30分~15時30分。参加無料(公園の入園料が必要)。