葉山まちづくり協会(葉山町堀内)が12月18日、「葉山ウォーク」を開催した。
この日は、22人の参加者が町の東部で最も横須賀市寄りの木古庭(きこば)にある沢田児童遊園に集合し、二手に分かれてガイドの山口明さん、鳥居信吉さんと出発。来年放送予定のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」ゆかりの場所などを歩いた。
江戸時代、江戸湾防備のために伊豆下田から浦賀へ奉行所が移された際に、東海道の戸塚宿から鎌倉、逗子、葉山を抜け、浦賀へ続く「浦賀道」ができた。木古庭はその道沿いにあり、当時から開けていたという。初代葉山村の村長で、初代町長の伊東家(伊東祐親を祖とする)の屋敷も現存する。
その浦賀道を通り、最初に向かったのは畠山重忠が山上に水を揚げたと伝わる「水揚げ場」。鳥居さんたちは「ドラマゆかりの人物、畠山重忠は『吾妻鏡』や古文書などに記されたものによると、1180年8月24日、鎌倉油井ヶ浜(現・由比ガ浜)で平家方として三浦義澄と合戦(小坪の戦い)後、飯島から正覚寺(逗子市小坪)の脇を通って扇山に登り、尾根を伝って、木古庭の畠山に城を築き、8月26日、母方の祖父・三浦義明が立てこもる衣笠城を攻めた」と説明。
三浦半島随一の滝「不動滝」の近くにある「不動堂」は、町制施行90周年を記念して製作した町史『葉山町の歴史とくらし』によれば、畠山重忠の守り本尊だった不動明王に戦勝を祈願したいという伝承が残され、畠山重忠の守護不動とも呼ばれている。勝利した後、像をこの池に勧請すると一夜のうちに山から清水が湧き出て滝となったと伝わるという。境内樹林は町指定の天然記念物になっている。
そのほか、浦賀道だったことの手がかりとなる「不動橋」や「馬頭観音菩薩坐像」や、日蓮上人ゆかりの「高祖井戸」や「本圓寺」「庚申(こうしん)塔」など、歴史をたどりながら14時まで歩いた。
まちづくり協会理事でもある山口さんは「葉山ウォーククイズ」として、「鐙摺(あぶずり)に供養塔がある伊東祐親の娘の名前は」「大河ドラマで畠山重忠を演じる俳優は」「高祖坂、高祖井戸などの地名にある高祖とは誰」などの問題を作り、話題豊富に参加者を楽しませた。
葉山郷土史研究会に所属する鳥居さんは「小坪の戦いの後、逗子のどこを通って木古庭まで来たかは明らかになっていない。たぶん尾根を伝って来たと思うが、そういうことも古文書をたどって検証したら面白いのでは」と話す。
参加者は「葉山に住んでいるが改めて知ったことが多かった」「来年のドラマが急に身近になった」「葉山は海だけでなく、山の魅力もたくさんある。山歩きは気持ちよかった」などとガイドやスタッフにあいさつして帰途についた。