葉山を拠点に活動する「はっぷ」(葉山町長柄)が11月30日、「葉山和ハーブ手帖」を刊行した。
葉山に昔から暮らす人たちから植物を使った料理や知恵を聞き、「和ハーブ協会」(東京都中央区)監修の下、ガーデンつくりや料理のレシピ、45種類のハーブ図鑑などをイラストや写真とともに収録している。
多世代の人たちが一緒に庭仕事や季節の手仕事を行いながら、元気に動ける心と体を支えていく活動をしている同団体の発起人で代表理事の大橋マキさんは、テレビ局のアナウンサーを辞めた後、英国で植物療法を学び、都内の病院で6年半にわたってアロマセラピストとして活動。約10年前に葉山に移住した。大橋さんは「葉山の自然が大好き。ここで暮らしていると足元から旬が来ると感じられる。この本は世代を超えて葉山で愛される植物の魅力が詰まっている」と笑顔を見せる。
「アロマセラピストとして働いていたときから、高齢者は昔の話を生き生きと話すことで元気になっていくと感じていた。ただしアロマは元気になろうとする扉を開くきっかけにはなるが、自分で生きようとしないと、日常の暮らしには戻れない。どんな暮らしをしたいかを自分で考え、立ち上がらないといけない。『はっぷ』はそこに寄り添い、サポートしている」と大橋さん。「サポートしながら、古老賢者の皆さんが教えてくれる暮らしの知恵にわくわくしている。そのわくわくを伝えたいと取材し、本にした」と続ける。
同書の制作では、3年前にアメリカの企業に助成金を申請したが、コロナ禍で送金が遅れた。2年前に取材を始めたがコロナ禍で高齢者と面会することができなくなるなど困難もあった。大橋さんはライターとして同書が6冊目の出版になるが、編集作業は初めて。「インタビューした内容をまとめて、イメージを絵にしてイラストを担当してくれたデザイナーさんに伝えた。料理のレシピも『はっぷ』のメンバーが季節ごとに作って撮影した中から選んだ。取材した古老の皆さんは丁寧で、長い手紙も送ってくれる。鳥を捕まえる仕掛けは実際に作って教えてくれた」と大橋さん。「コロナ禍で大変なこともあったが、次世代の人に、年を重ねることも悪くないと感じてもらうとともに、昔語りの中ににある魅力も伝えられたら」と期待を寄せる。
同書は122ページ、A5判。価格は1,430円。
本に収めきれなかった葉山で暮らしてきた人々の「昔語り」は「はっぷ」のホームページ内「葉山を継ぐStory」に掲載している。